リクルートのキュレーションメディア「ギャザリー」5月末を目途に閉鎖

リクルートライフスタイルが運営するキュレーションメディア「ギャザリー」が5月末を目途に閉鎖することが決定しました。
リクルート、キュレーションサイト「ギャザリー」を5月末で終了へ

昨年末に世間を賑わせたWELQ問題に通ずるところがありますね。
今後、低品質なキュレーションメディアはどんどん淘汰が進んでいくでしょう。

ギャザリー

なぜギャザリーは閉鎖に至ったのか

なぜギャザリーは閉鎖に至ったのでしょうか。

このたび『ギャザリー』は、2017年5月31日をもちまして、サービスを終了することとなりました。

2014年9月よりサービスを開始し、キュレーターがそれぞれの体験に基づいた記事を投稿することで、
ご利用の皆様に新たな発見や、より豊かな生活を送るための選択肢を提供したいと考え、運営してまいりました。

しかしながら、昨今のキュレーションメディアを取り巻く環境により、
今後事業として持続的に成長させていくことは難しいと考えております。

また、場の運営者の責任の有無に関わらず、
キュレーターの自主性に委ねられるキュレーションメディアにおいて、
一次権利者の権利保護を十分に図ることが、現状においては困難なことから、
サービスを終了させていただくことを決定しました。

■引用:ギャザリー – サービス終了のお知らせ

主な理由としては、
キュレーションメディアの検索順位低下措置
・著作権侵害
・それらによる収益性の低下
があるようですね。

収益も上げられないし、コンプライアンス的にも問題となる可能性がある
つまり、事業としてうまみがなくなったということでしょうか。
やはり、キュレーションメディアビジネスは、WELQ問題でとどめを刺されたといった感じなのでしょうか。

関連:WELQ問題

昨今のキュレーションメディアの閉鎖問題は、WELQ問題に端を発しているようです。
ここで一度WELQ問題について振り返っておきましょう。

WELQ問題とは?

DeNAが運営していた医療情報サイト「WELQ」にて発覚した問題です。
2016年11月ごろに話題になりましたね。

いわゆるキュレーションサイトと呼ばれるもので、ユーザーが自由に情報を投稿できる形式のサイトです。
しかし、その投稿内容が全く監修されていないため、誤った情報が多数掲載されていました。
そのような誤った情報が上位表示されていることが問題となり、閉鎖に至った次第です。
■参考:DeNA医療情報サイト ウェルク(WELQ)問題まとめ【何が問題だったのか?】

「肩こりの原因は幽霊」などのデマ情報が掲載されていたのは有名ですね。
■参考:DeNAがやってるウェルク(Welq)っていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件(第1回)

パクリ記事量産の裏側

パクリ記事量産の仕組みについて詳しく書かれています。
「クラウドソーシングで100円程度で関連情報を他サイトからコピペさせる→その情報をもとにこれまた100円程度で記事の形に整形させる」
という手法で記事を量産させているようです。
この手法が倫理に反しているのは言うまでもないです。
完全な盗作なので。
■参考:【DeNAパクリ】キュレーションメディアの依頼の実態を掴んだ結果マジで酷いことになってます!【20161202更新】

しかし、このような方法で検索順位が序章するという事実がある以上、同じようなことはなくならないでしょう。
無くすためには、
・盗作の記事作成では検索順位が上がらない
・そのようなコンテンツのあるサイトはペナルティを受ける
・法的な罰則を設ける
などの強制力がないと難しいところでしょう。

また、我々ユーザー側もその情報がどこまで信用できるものなのかを常に考えながら情報収集をしていく必要があります。
スマホの普及などによるインターネット利用者の拡大によって、情報を供給する側の数も急激に増えました。
それだけ、信頼性の低い情報がたくさん出回っているということです。
より一層、ネット上の情報の信頼性について敏感になる必要がありそうです。

そして、いくらデマ情報への対策が進んでも、それらがなくなることは絶対にないでしょう。
ネットへの情報の投稿は自由ですからね。
なんでも鵜呑みにしていたらいつか痛い目に合います。

今後は、情報の信用性、つまりその情報は誰が提供しているのかということが重視されます。
ですから、誠実に情報を発信し続け、少しずつ信用を積み上げていく事が重要になってきます。
結局は、現実世界と同じようなことになっていくのですね。

Googleによる低品質なキュレーションサイトの順位低下措置

この件を受け、googleはキュレーションメディアの検索順位を下げるための検索アルゴリズム変更を行っています。
このアルゴリズム変更は、日本独自のものであり、googleもそれだけ問題を重く受け止めているということになります。
たしかに、上位表示される情報が誤っていたとなっては、googleの事業の根幹にかかわってきますからね。
googleは検索サイト、つまり検索するユーザーにとって適切な情報を返すことが使命です。
それができないということは、googleの存在価値がなくなってしまうということですからね。

■参考:Google、低品質サイトの評価を下げるアップデート――キュレーションメディアなどが対象に
■参考:キュレーションメディア“狙い撃ち” Google検索、アルゴリズム変更の狙い

悪質な記事はまだ当分は上位表示されるだろう

WELQの方がマシだった? ネットの医療情報は今、どうなっているのか

WELQは閉鎖されました。
しかし、代わりにがんに漢方が利くと言って高額な漢方を売りつけるサイトが上位表示されているようです。
おそらく、どれだけ取り締まってもこの手のサイトはなくならないでしょう。
いつの時代でも悪徳セールスがあるのと同じです。

そうであれば、私たちはもうそういうものだと思ってネットを使うしかないでしょう。
書いてある情報が信用に値するかはわからない。
それを判断するのは自分の責任。
こうした意識でネットを使う必要があるでしょう。

そうしたITリテラシーが一般常識として浸透した時、この手のサイトはなくなります。
稼げなくなりますからね。
ですから、まだまだこの手のサイトは健在でしょうね。

2017/6/12追記

「間違い多数」の指摘受け、全記事非公開に 「医師が教える」美容整形サイト「ニコリー」

医師の監修を受けているというキュレーションメディア「ニコリー」。
こちらも、記事内容の信憑性が担保で着ないということで、閉鎖に追い込まれています。
今後もこのようなサイトはどんどん増えていくでしょう。
同時にネットに対する信頼性もどんどん下がっていますね。
ネットだけに限りませんが、
・一つだけの情報源を信用し過ぎない
・複数の情報を比較した上で結論を出す
という情報に対する当たり前の姿勢が重要になってきますね。

ランサムウェア「ワナクライ(WannaCry)」とは何か。感染しないための方法。

昨年猛威を振るったランサムウェアは、今年も引き続き世界に大きな影響を与え続けそうです。

英国では公共医療制度を管轄する国民医療サービス(NHS)のシステムが一部地域で停止に追い込まれ、複数の医療機関で診療ができなくなった。
AP通信などによると、ロシアでも内務省のコンピューター約1000台が攻撃され、捜査機関や大手携帯電話会社に被害が発生。
米運輸大手フェデックスやスペインの通信大手テレフォニカも標的になった。
トルコ、ベトナム、フィリピン、中国、イタリアでも被害が確認されているという。

■参考:<サイバー攻撃>身代金要求「ランサムウエア」世界で猛威 – Yahooニュース

2017年5月12日ごろに、ワナ・クライ(Wanna Cry、WannaCrypt、WannaCryptor)と呼ばれるランサムウェアによる大きな被害が世界各国で発生しました。
日本は休日だったということもあり、被害は少なかったようです。
しかし、同様の事態が今後起こることはあり得ます。

ランサムウェアの被害に合わないためにも、
・ランサムウェアとはなんなのか
・どうすればその被害に合わなくて済むのか
を知る必要があります。

ランサムウェア Wanna Cry

ランサムウェアとは

パソコンやスマホにロックをかけてデータを読み込ませなくするウィルスです。
ロックの方法は、単純に端末にロックをかけたり、データを暗号化(PCで読み取り不可能な状態にする)などがあります。
一度ロックを掛けられてしまうと、二度とそのデータを閲覧することができなくなります。

また、そのロックを解除するためには、指定の金額を払えという強迫が来ます。
しかし、その金銭を払っても暗号化は解除されません。

このような一連の流れから、このウィルスソフトは「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせ、「ランサムウェア」と呼ばれています

ランサムウェアはPC版が有名でしたが、最近ではスマホ版のランサムウェアの被害も増えているようです。
PC版は、ファイルに暗号をかけ、解読不能とするものが多いです。
一方スマホ版は、端末そのものにロックを掛け、使用できなくしてしまうものが多いです。

また、ランサムウェアは、一度感染してしまうと被害が拡大するという特徴を持っています。
たとえば、あるパソコンがランサムウェアに感染すると、そのパソコンがアクセスできるファイル全てが暗号化されてしまいます。
もし、全てのファイルにアクセス権限のあるパソコンが感染してしまうと、ネットワーク内のファイル全てが使用不能になってしまうということです。

このようにランサムウェアは感染してしまうと、被害が甚大になります。
また、一度感染してしまうと、それを解除する方法はありません。
ですから、感染しないように防衛策を講じることが重要になります。

感染動画

IPAが公開したWannaCRY感染実演でも動画になります。
感染すると次々にファイルが暗号化されること、感染したPCとネットワークでつながっているPCも感染していく様が見れます。
暗号化が完了すると、金銭を要求する画面が表示されます。

■ランサムウェア「WannaCry (WannaCryptor)」感染実演デモ

ランサムウェア被害者の生の声

「言葉では言い表せない絶望感だった」――ランサムウェア被害者が語る

WannaCryは、なぜ生まれたか?

WannaCryは、Windowsの「SMBv1の脆弱性」という脆弱性をついたウィルスです。
この脆弱性は、米国家安全保障局(NSA)がハッキングツールに使用していました。
そのツールが外部のハッカーなどにより流出し、WannaCryに悪用されてしまいました。

また、この脆弱性を利用したツールを使っている事実はマイクロソフトに公開していなかったため、被害が拡大しています。
もし、NSAがその脆弱性をマイクロソフトに報告していれば、その修正パッチが用意され、ここまで被害は広がらなかったということです。

■参考:「WannaCry」大規模攻撃発端のShadow Brokers、新たな流出情報の提供を予告
■参考:マイクロソフト、WannaCry被害でNSA批判 「トマホークミサイルを盗まれたのと同じ」

 

ちなみに、SMBは主にWindowsでファイルやプリンタ共有のために使われているプロトコルだそうです。
これを停止させればWannaCryに感染しなくなるようですが、ファイルやプリンタ共有ができなくなるので、限定的な対策になりますね。
やはり、OSの最新化、不用意にメールを開かないなどの根本対策が必要になってきます。
■参考:Windowsの通信プロトコルに脆弱性報告、SMB v1は無効化を

Adylkuzzという新種ウィルスも出回っている

WaanaCryが利用している脆弱性を使った新たなウィルス「Adylkuzz」が出回っているようです。
Adylkuzzは、感染したPC内にあるbtcoinなどの仮想通貨をウィルス作成者に送信させるものです。
これらの処理はバックグラウンドで行われるため、感染に気付きにくいのが特徴です。
WannaCryやAdylkuzzからも見られるように、金銭の要求方法がかなり直接的になってきていますね。
■参考:新たな大規模サイバー攻撃、水面下で進行 WannaCry超える規模
■参考:暗号通貨のマイニングに使われる Adylkuzz が登場: WannaCry の系列とは別

感染経路

ランサムウェアの主な感染経路は以下の二つになります。
・メールなどのリンク、添付ファイルからの感染
・不正広告の表示、クリックによる感染

メールのリンクや添付ファイルによる感染

ランサムウェアの主な感染経路は、メールのリンククリックや不正ファイルのダウンロードによるものです。
リンク先にウィルスに感染させるページを用意したり、
添付ファイルにウィルスそのものが入っているのです。

不正広告による感染

ランサムウェアは不正な広告を介しても感染します
webページを見ていると、広告が表示されますよね。
その中に不正な広告が混じっており、それが表示またはクリックされると感染してしまうのです。

広告表示のネットワークはとても複雑な仕組みになっています。
アドネットワークと呼ばれる、広告のDBのようなものがあり、そこから広告が読み込まれサイトに表示されます。
そして、そのアドネットワークに出稿される広告は様々です。
一つのアドネットワークに複数の広告代理店が存在することもあるので、不正な広告がどこから入り込んだかが非常にわかりにくいです。
また、アドネットワーク内に不正侵入し、不正広告を作成するというケースも考えられます。
このように、どこから不正な広告が入ってくるかわからない、それ故に対策が難しいという問題があります。

正確な感染経路は不明。SMBポートの脆弱性か?

「メールでの感染」は、今までの傾向から推測されたものでした。
しかし、実際に感染源となった不審メールは発見されていません。
セキュリティ企業のMalwarebytesの調査結果によると、攻撃者は、脆弱性のあるSMBポートを探して攻撃した可能性が高いようです。
その際、NSAから流出したツールを使用したようです。

■参考:「WannaCry」の拡散、電子メールが原因ではなかった セキュリティ企業が分析結果公表

SMBとは、ネットワーク(LAN)上の複数のWindowsコンピュータの間でファイル共有やプリンタ共有などを行うためのプロトコルおよび通信サービス。
■参考:SMB

ランサムウェアの被害に合わないために

ここまででランサムウェアの恐ろしさが理解できたかと思います。
感染すると、ファイルやPCが使えなくなってします。
そして、身代金を払ってもその事象は解消されません。

ランサムウェアの被害は、会社などの組織はもちろん、個人の間でも広がっています
つまり、あなたも被害にあう可能性が十分あるということなのです。
では、このような被害に合わないためにはどうすればいいのでしょうか。

OS、ウィルスソフトの最新化

感染しないためには、ウィルス対策の基本ですが、
・Windows UpdateにてOSを最新化する
・ウィルスソフトを最新化する
ことが絶対です。
これで少なくても既存の脆弱性を狙われることはなくなります。

この記事にも書かれているようにMSも修正パッチをリリースしているので、まだの人はただちにアップデートすることをおすすめします。

WannaCryが利用するSMBv1の脆弱性「MS17-010」は、既に修正パッチがリリース済みで、緊急性を鑑みたMicrosoftは、サポートが終了しているWindows XP、Windows 8およびWindows Server 2003向けにも修正パッチをリリースしました。とるべき対策が明記されているので、ぜひ、目を通してください。

ランサムウェア「WannaCry」の被害が止まらない理由

不用意にメールを開かない

また、ランサムウェアの感染経路は、メールが主です。
12日に猛威を振るった「ワナ・クライ」も日本ではそこまで被害は広がりませんでした。
それはなぜかというと、休日で、そもそもメールを開かなかったからです。
これは裏を返せば、不審なメールを開きさえしなければ、感染は防げるということです。

ただ、今はメールの偽装も高度化しています。
件名も自分の業務に関係するものだったり、ドメインを偽装したりするので、パッと見不審には見えません。
しかし、いつもと雰囲気の異なるメールが来たら一度立ち止まって考えてみることが大事です。

◆2017/5/19追記◆
最初はメールでの感染が主な経路だと思われていましたが、どうもその筋は疑わしいようです。
というのも、実際に感染源となったメールの情報が未だに出てきていないからです。
不審なメールを開かない、と言うのは当たり前ですが、それだけではWannnaCryの感染を防ぐことは難しいかもしれません。
やはり、OSやウィルスソフトを最新化し、セキュリティを強化するしかないようです。

定期的にバックアップを取る

次に感染してしまった時の対処法です。
ランサムウェアに感染した時の問題点は、ファイルを見れなくなることです。
ということは、感染してたとしてもそのファイルのバックアップが取ってあれば、問題はないのです。
ですから、定期的にバックアップを取るようにしましょう。
その際、データだけでなく、OSのバックアップも取得しておくと、端末ロックされた時も安心です。
バックアップしたデータは以下のような外付けHDDなどに保存しておけば、端末が感染しても、それが伝播することはありません。


I-O DATA HDD ポータブルハードディスク 1TB

また、バックアップをとる手段はクラウドという選択肢もあります。
googleフォトやAmazonのストレージサービスなど、選択肢は色々あります。
ネット上のストレージにデータを保存しておくのですね。
そうすれば、自分の端末にデータを置かなくていいので、ランサムウェアの被害にあう危険性も少なくなります。

たしかに、クラウドサービスが狙われるという危険性は存在します。
しかし、普通に考えて自分のPCのセキュリティとGoogleのセキュリティだったら、どっちが強いかと思いますか?
きっとGoogleの方が強いですね。
そう考えると、わざわざ手元でバックアップデータを取る必要はないかもしれません。
それでも不安というなら、クラウドを分散させればいいのです。
AmazonとGoogle両方に置いておけば、リスクは分散できますからね。

ランサムウェアから大切なデータを守る鍵「レジリエンス」とは何か?

スマホ向け対策

ランサムウェアはPCだけでなく、スマホでも猛威を振るっています。
スマホの場合はデータを暗号化するというよりは、端末そのものにロックを掛けるといったケースが多いようです。
このように感染によってロックがかかってしまった場合の対処法を説明します。

スマホのランサムウェアは、アプリの形態をとっているので、そのアプリ自体をアンインストールすれば、問題を解決できます
しかし、感染した状態ではそもそも端末が使えないので、アンインストールすることはできません。
感染した状態でアプリをアンインストールするには、スマホをセーフモードで起動する必要があります。
その上で、アプリをアンインストールすればいのです。
詳しい操作方法については、以下の記事を参照ください。

参考:Androidランサムウェアは「セーフモード」で削除を

復号化ツール公開される。感染後すぐに使用するのがポイント。

「WannaCry」に対応したトレンドマイクロ製の無償ツール「ランサムウェア ファイル復号ツール」 – 窓の杜

トレンドマイクロ社より、ランサムウェアWaanaCryによって暗号化されたファイルを復号するツールが公開されたようです。
WaanaCryのプロセスが使用しているメモリから秘密鍵を取得し、復号化するようです。
なので、秘密鍵がメモリ上に残っている状態で使用しないといけません。
暗号化が完了して時間が経った後や再起動後などに使用しても、効果がないので注意が必要です。
万一感染した時にすぐに使用できるように、あらかじめダウンロードしておくといいでしょう。

サイバー反撃の法整備進む

WannaCryによるサイバー攻撃を受け、政府がサイバー反撃可能な法整備を進めているようです。
今までは、政府のサイバー攻撃への反撃は、不正アクセス禁止法により不可能でしたが、この法案が可決すればこれが可能となります。
■参考:政府、「サイバー反撃」可能へ法整備検討

サイバー反撃が可能になると、攻撃の出所がわかるので、攻撃者を特定することができます。
そうすれば、損害賠償を請求することもできますし、将来の攻撃への抑止力となることも期待できます。
つまり、「サイバー反撃が可能である」という事実そのものが大きなカードとなるわけですね。
■参考:サイバー攻撃のアトリビューションは魅力的な仕事である

「死ぬくらいなら会社を辞めればいい」と言うのは簡単だけど…

会社
電通の新入社員の過労自殺を受け、「辛いなら辞めればいい」という論調が強まっています。
たしかにその通りなのですが、今の風潮では会社を辞めたその後のことが考えられていません
会社を辞めたとの具体的な道筋についての議論が抜けているのです。

会社を辞めた後の未来が見えないことが問題

今の論調には、会社を辞めた後のことが全く考えられていません
辞めた後の具体的な道筋や、辞めた人間を受け入れる社会の制度や人々の考え方ができあがっていないのです。
失業者の保証は十分でないし、会社を辞めた人間に対し、未だ世間は「負け犬」のレッテルを貼ってきます。

結局のところ、そういったことが整備されないと、この手の問題は終わらないでしょう
辞めたところでどうすればいいのかわからない。
そのような不安がある限りは、簡単にやめればいいという考えには至らないでしょう。
辛くても逃げられない、という現状は変わることがありません。

「辛かったら辞めればいい」という人も、実際にそのような立場に立った時、本当に辞めることはできるのでしょうか。
ほとんどの人は、そんなに簡単に会社を辞めるという決断はできないでしょう。
外野がとやかく言うのは簡単です。
自分のことではないし、責任もないからです。

そのような現実感の無い人間、己の問題として考えられない人間がいくら議論を重ねたところで、根本の解決には至らないでしょう。

今死ぬか、惨めに人生を長らえて死ぬかの違いしかない

会社を辞めた後の道筋が無い以上、気軽に会社を辞めることはできません。
それは、結局のところ死期を遅らせるだけだからです。

たとえば、会社に勤めるのがつらくて会社を辞めたとしましょう。
会社を辞めれば収入はなくなります。
しばらくは貯金で生活することも可能でしょう。
しかし、いつかはまた働かないといけなくなります。

そして、いざ再就職しようとしても、様々な障害が立ちはだかります。
社会は、離職者に対し非常に厳しい目をむけます。
再就職しようとしても、離職の経歴が傷となり、なかなか就職できません。
運よく就職できたとしても、当然いい勤務先には恵まれません。
前と同じか、もっとひどい環境で働くことになるでしょう。

そうしたことを繰り返すうちに、そもそも働くことが嫌になってしまいます。
そうなると、収入を得ることもできなくなるので、生活ができなくなります。
収入が得られなくなれば、あとは死を待つのみです。

親元に頼る、という選択もあるでしょう。
しかし、親も決して裕福だとは限りません。
自分たちの生活だけで手いっぱいかもしれません。
そうなった時に、親だけで子どもを支えることは難しいです。

それに仮に支えたとしても、その先はどうするのでしょうか。
どう考えても親の方が先に寿命が来ます。
当然、子どもをずっと支えることなど不可能です。

この過酷な社会状況の中、一度離職した子供を再び社会に送り出すのは困難です。
そうなった時、子どもはどうするのでしょうか。
生活の術を持たず、年齢は40半ばを迎え、いまさら再就職は不可能。
もはや、絶望しかありません。

このように考えると、会社を辞めたところで、結局のところ問題の解決にはならないのです。
今すっぱりと死ぬか、惨めに人生を永らえて死ぬかだけの違いなのです。
それを理解しないで、「死ぬくらいなら辞めればいい」などと言っても、全く意味がないのです。

社会の在り方が変わらなければならない

この問題の根本原因を解決するには、やはり「会社を辞めた後の生き方を整備する」必要があります。
そうしなければ、この手の問題はいつまでたってもなくなることはありません。

会社を辞めた後の人生の道筋を社会として整えていく事。
会社を辞めることをネガティブなこととしてとらえないよう、社会の風潮を変えていく事。
これら二つのことを変えていかない事には、こういった悲しい事件はなくならないでしょう。
個人や会社の問題ではなく、社会そのものの問題であるととらえなければなりません。

東京電力管轄の送電線の火災による、東京都心部の大規模停電について

2016年10月12日午後3時頃、豊島区や練馬区などの中心に大規模な停電が発生しました。
停電した世帯は58万戸にものぼるそうです。
同日午後5時前には復旧した模様。
原因は、埼玉県新座市野火止の送電線の損傷、それによる火災と見られています。

都内で延べ58万戸停電 埼玉の送電線から発火
東電、火災、停電

なぜ停電が起こったのか?

今回は、なぜこのような大規模な停電が起こったのでしょうか。
どうやら、東京電力の管轄する新座変電所と豊島区、練馬区の変電所をつなぐ電力ケーブルが損傷したことが原因のようです。
1本のケーブルが漏電、引火し、それが周りのケーブルにも広がり、ここまでの大規模停電につながったようです。
以下はそのときの火事の様子ですが、かなり激しい出火だったようです。

なぜ漏電が起こったのか

停電の理由が漏電、それによる火災でケーブルが損傷したためだということがわかりました。
では、一体なぜ漏電が起こったのでしょうか。

今回、漏電が起こったケーブルはOFケーブルと呼ばれるものです。
これは電線の周りに油をしみこませた紙を何重にも巻くことで、絶縁体としています。
その絶縁体が何らかの原因で損傷したため、そこから電流が漏れ、火災が起こったものと見られます。

35年前に設置されたケーブルだった

今回、出火があったケーブルは、35年前に敷設されたものだそうです。
定期的な点検も行っていたようで、今年は6月15日に行っていたとのこと。

電線の劣化という意味で、35年前が長いのか短いのかは不明ですが、目の点検だけで劣化がわかるのかは疑問です。
目ではケーブルを覆うビニール部分しか見えないのでは、という気がします。

もちろん、それ以外の検査も行っているのでしょう。
しかし、今回こういった事件が起こってしまった以上、検査の手法を見直さないといけません。
なぜ、検査で劣化が検知できなかったのか、どのようにすれば検知漏れが防げるのか検討するべきでしょう。
まずは、原因の解明が急がれます。

また、一か所の損傷によって、停電が起こってしまうのは、構造上どうなのでしょうか。
普通は、リスク分散のために2系統用意しておいて、片方が損傷した場合も、通常に送電できるようにするべきなのではないでしょうか。

出火の原因はいまだ解明せず

10/13現在、出火の原因は特定できていないようです。
何らかの原因が見つかれば対策も打てますが、これが経年劣化によるものだとしたら厄介です。
今回のケーブルは35年前に敷設されたものですが、それぐらいの年月が経っているケーブルはかなりの長さ存在します。

東京電力管内では、出火したものと同じタイプのケーブルの3分の2が設置から35年以上経過しており、その総延長は約1000キロ・メートルに上ることが分かった。
引用:35年以上経過のケーブル、東電管内に1千キロより

もし、経年劣化が原因だとしたら、そのケーブルを全て取り替えないといけない、という事態にもなりかねません。
そうした時の調査や、入れ替えの費用は電気代に上乗せされるのでしょうか…?

豆知識

変電所とは

変電所とは電圧を変える場所のことです。
送電の際、ロスを防ぐため、電圧を上げています。
しかし、そのままだと電圧が高すぎて、家庭で使えません。
ですから、変電所で電圧を下げて一般家庭に届けているのです。

変電所とは、電気の電圧を変える場所です。
発電機で作り出される電気は2万3千ボルトや1万2千ボルトですが、電気抵抗によるロスが生じるため、50万ボルトや27万5千ボルトという高い電圧にして送り出します。
そして超高圧変電所、一次変電所、二次変電所、配電用変電所と各変電所で徐々に電圧を下げて、家庭や工場に届けています。
引用:変電所ってどんなところ?変電所の役割より

変電所の種類は、扱う電圧によって、
・超高圧変電所
・一次変電所
・二次変電所
・配電用変電所
に分けられます。

超高圧変電所は、発電所から直接送られてきた、超高圧の電気を扱う変電所です。
そこから一次変電所や二次変電所に送られます。
そして、配電用変電所で家庭でも扱えるまで電圧を落とし、一般家庭へ送電します。

参考:変電所ってどんなところ?変電所の種類

OFケーブルとは

OFケーブルは、地中の送電に使われるケーブルの一種だそうです。
地中の送電に使われるケーブルには、OFケーブルの他に、CVケーブルというものが存在します。
CVケーブルは、絶縁に架橋ポリエチレンという素材を使っており、工事や保守が容易です。
そのため、現在ではCVケーブルが主流となっています。

参考:でんきはどうやって送られてくるの?地中送電

「残業100時間で過労死は情けない」この考えが人の命を奪っていることに気付こう。

武蔵野大学の教授がインターネットニュースサイトに不適切な投稿をしたとして、問題になっています。
今回は、この件についてみてみましょう。

「残業100時間で過労死は情けない」 教授の処分検討

残業、過労死

経緯

武蔵野大学のグローバルビジネス学科の長谷川秀夫教授がインターネットのニュースサイトに不適切な投稿。
これは、先日の電通新入社員の過労自殺に関するもので、
「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」
「自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない」
などといった、配慮の欠ける、非常識な内容であった。

月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない。
会社の業務をこなすというより、自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない。
自分で起業した人は、それこそ寝袋を会社に持ち込んで、仕事に打ち込んだ時期があるはず。更にプロ意識があれば、上司を説得してでも良い成果を出せるように人的資源を獲得すべく最大の努力をすべき。
それでも駄目なら、その会社が組織として機能していないので、転職を考えるべき。また、転職できるプロであるべき長期的に自分への投資を続けるべき。
引用:長谷川秀夫教授「残業100時間超で自殺は情けない」 投稿が炎上、のち謝罪

残業を強要するのは、人の命を奪うのと同じこと

今回の事件で、異常だと感じるのは、一定数この教授の発言に共感を示す人間がいることです。
つまり、「100時間残業くらいは甘い」と認識している人間が一定数以上、この日本社会に存在するのです。

別に、その人が残業100時間を少ないと思うのは勝手だとは思います。
しかし、それを人に押し付けるのは間違っています。
原則として残業は1ヶ月45時間までと、労働基準法36条で決まっています。
また、80時間を超過すると過労死ラインといって、健康に障害をきたす可能性が急激に高まります。

個人的に残業時間の長さをどう思うが勝手ですが、100時間の残業というのは客観的に見て異常です。
そして、それが何ヶ月も続いていた。
それによって、命に支障をきたしもおかしくないのです。

「会社が大変だ」とか「そんな甘いことを言ってられない」という意見もあるかも知れません。
しかし、そういった自分の考えを周りに押し付けることで、人の命が奪われているのです。
そういう人たちは、自分の命を捨ててまで、会社に貢献しろというのでしょうか。

残業を容認するのは、はっきり言って人の命を奪うのと同じことです。
それによって、命を落としている人間が数え切れないほどいるのです。
残業をよしとすることは、人の命を奪うことをよしとするのと同じことです。
早くこの異常性に気付くべきではないでしょうか。

「甘い」という人間は、どうして自分が同じ立場になるかもしれないということが考えられないのでしょうか。
このような風潮を続ける限り、いつかは自分の番が巡ってきます。
そんなことは考えなくてもわかることでしょう。

また、「死ぬくらいなら辞めればよかった」という人もいます。
これは、たしかにそのとおりなのですが、実際には辞めることなく命を絶ってしまいました。
重要なのは、「辞めればよかった」と後から言うのではなく、「なぜ辞めることができなかったのか」を考えることではないでしょうか。

辞めることができなかった原因は、さまざまかと思います。
今までの人生経験、本人の精神状態、職場の環境、社会のあり方・・・
そういったものを一つ一つ見ていって、もっと自ら命を絶つような人が出ない、健全な社会を作っていく必要があります

そのためには、まず私たち一人一人が、そもそもの考え方を見直すことが必要です。

残業をしてでも会社に貢献すること
自分の生活を犠牲にしてまでも、働くこと
それよって命を落としたとしても、それは自己責任

このような無責任な考え方で人が命を落としているのです。
私たちが当たり前と考えていることは、当たり前ではないのです。
自分の考えは本当に正しいのか、今一度よく考えてみる必要があるでしょう。

参考:過労死ラインは80時間

関連記事

電通新入社員の過労自殺から考える日本社会の異常性
仕事に希望を持つことができない、不幸な若者たち
私たちは「働くこと」の意味を考えなければならない

福岡空港における、ANA(全日空)定員超過事件について。

2016年9月に、全日空機が定員超過のまま移動を開始していたことが発覚しました。
今回は、この事件について見ていきたいと思います。

ANA、全日空、定員超過

事件の経緯

9月30日、福岡空港にて全日空機が定員超過のまま移動をしていたことがわかりました。
客室乗務員が異変に気付き、離陸には至りませんでした。

なぜ、定員超過ということが起こってしまったのでしょうか。
詳しい経緯は、以下となります。

検査場での出来事

1組の親子が検査場を通過しました。
その際、まず最初に父親が通過、次に男性が通過しました。
しかし、その際父親と同じバーコードをかざしたそうです。
そのため、「再通過」のレシートが出力されました。
既に父親のバーコードは受理されているわけですから、当然ですね。
ただ、この時検査員は再通過が出ていたことを知りながら、親子を通しました。

搭乗口での出来事

搭乗口では、男性→父親の順番でバーコードをかざしました。
その際、座席番号の重複を示すエラーが表示されました。
二人とも同じバーコードで処理されているわけですから、重複するのは当然です。
しかし、担当者は父親が誤って二回かざしたと判断し、搭乗させました。

離陸直前に定員超過が発覚

上記の経緯から男性のバーコードは処理されず、キャンセル扱いになったようです。
そして、その席に他の乗客が同乗したため、定員超過となりました。
駐機場を離れた際、父親の席がなく、立ったままであることを客室乗務員が発見。
そのため、定員超過と判断され、引き返したのです。

考察

今回の事件の原因は、チェック体制の甘さが原因でしょう。
システムそのものの動きには問題はなかったはずです。

チェックが徹底されていなかったのは、以下が原因ではないかと考えられます。
・手順が確立されていなかった、順守が徹底されていなかった
・それを守らなかったとき、どのような問題が起こるのかの教育が徹底されていなかった
・単純な人手不足

完全なシステム化は不可能です。
どこまで行っても人手の部分をなくすことはできません。
ですから、人手の部分も含めてエラーが出ないような仕組みを作っていく必要があります。

同様の事件が、新千歳空港で8月に起こっています。

2016年8月5日、国内線保安検査場Aにて、乗客の女性が保安検査を行わずに搭乗待合室に立ち入ったため出発前の約1000名の保安検査をやり直した。この影響で11便が欠航、150便以上で最大3時間の遅れが生じた。
引用:新千歳空港、保安検査すり抜け事件

事故にならなかったからよかったものの、かなり危ない事態であったことに変わりありません。
このようなミスが繰り返されれば、いつかは大きな事故にもつながりかねません。
また、航空機の利用者にも遅延などの影響が及んでいます。
このようなことを繰り返さないためにも、早急な対策・改善が望まれます。

講談社によるAmazonへの抗議。KindleUnlimitedでの電子書籍配信の無断停止騒動について。

<講談社>作家ら説得の作業を無にしたアマゾンへの怒り
アマゾン読み放題、講談社などの全タイトル消える

AmazonがKindle Unlimitedから講談社の作品を無断で除外したとして問題になっています。
今回は、この騒動について見ていきたいと思います。

電子書籍

今回の騒動の経緯

Amazonが提供する電子書籍読み放題サービスKindle Unlimitedにて、講談社の作品1200点余りが無断で配信停止となった。
講談社はそのことに対し、Amazon社に対し、抗議を行う。
抗議の内容は聞き入れられず、さらにその間にも読み放題対象作品から同社の作品が除外されている。
現在(当記事執筆時点:2016/10/10)もその状況は変わらない。

なぜAmazonは配信停止を行ったのか

では、なぜAmazonはこのようなことを行ったのでしょうか。
それを理解するためには、Kindle Unlimitedサービスの料金体系を理解する必要があります。

Kindle Unlimitedサービスとは?

Kindle Unlimitedとは、Amazonが提供する電子書籍読み放題サービスのことです。
このサービスに加入すると、月額980円で対象の作品が読み放題になるのです。
ユーザーとしては、読めば読むほどお得になるということです。

上記は、消費者からみたKindle Unlimitedサービスの料金体系です。
今度は出版社から見たKindle Unlimitedサービスを見ていきます。

出版社はAmzonとKindle Unlimitedサービスの契約を行います。
すると、出版社が提供したコンテンツが読み放題対象となります。
そして、その作品が一定ページ数以上読まると、出版社に対して料金が発生します。

・年末までは本が読まれた場合、普通に売った時と同じ料金をAmazonが出版社に支払う契約になっていた
・通常、Kindle Unlimitedでは読まれたページ数に応じて利益が支払われるが、出版社向けの契約では、全体の10%が読まれたら1冊読んだことにするとしていた

参考:「5カ月分の予算が最初の1週間で消えた」―― 出版社社員が明かす「Kindle Unlimited」大混乱の理由

つまり、出版社は読まれれば読まれるほど、お得というわけです。
反対にAmazonは、発生した料金が契約料金を上回ると赤字になるというわけです。

Kindle Unlimitedサービス概要図

参考:<講談社>作家ら説得の作業を無にしたアマゾンへの怒り

Amazonが無断配信停止を行った理由

Kindle Unlimitedサービスは、その作品が読まれれば読まれるほど出版社にお金が入ります。
逆に言えば、Amzonの出費が増えていくということです。
もともと、Kindle Unlimitedサービスは、集客や販促効果を狙ってのものでしょう。
読み放題というエサをまいて、別のところで利益を上げるということです。

しかし、今回はその採算が合わなくなったのでしょう。
つまり、Kindle Unlimitedサービスの提供にかかるコスト(講談社に支払う利用料)と、それによる販促効果の収支が取れなくなったということです。
だから、講談社の作品の提供を停止したということになります。

なぜ利用料が想定外となってしまったのか

では、なぜAmazonがこのような利用料の発生を予期できなかったのか。
それは、日本市場の独自性にあるようです。

日本は、海外でも有名な漫画大国です。
そのため、国民の間でも漫画の購読量が多いです。
それに加え、漫画は普通の本と比べ、読むスピードが速くなります。
つまり、日本市場の独自性によって、出版社に支払う利用料が予想以上に膨らんでしまったのです。

今回の騒動では、漫画、雑誌、写真集など、普通の本と比べて読み進めるスピードの高いものが、配信停止されています。
そのことからも、上記の説が一定の真実味を帯びていることがわかります。

参考「5カ月分の予算が最初の1週間で消えた」―― 出版社社員が明かす「Kindle Unlimited」大混乱の理由

補足

今回の報道では「無断」というワードがよく使われています。
ただ、ここに関しても複雑な事情があります。
というのも、Amazon側は一度講談社に契約内容の変更を打診しているようです。

ただ、それに対して講談社側は応じませんでした。
そのため、Amazonがコンテンツの配信を停止したという経緯があります。

つまり、停止の前に一度交渉はしたが、それが決裂した後、配信を「無断」で停止しているのです。
完全に何の通告もなく配信を停止した、というのとは微妙にニュアンスが変わってきます。

講談社が抗議を行う理由

今回の無断配信停止は契約内容に違反しているのか

これまでの流れを見ていると、講談社が抗議を行う理由は明確なように思えます。
それは、Amazon側が無断にコンテンツの配信を停止したからです。

しかし、ここで一つの問題点があります。
それは、「果たしてそれが契約上問題があるのか」という点です。

現在、わかっている情報はAmazonが無断で配信を停止したという点のみです。
契約の内容や、無断に配信を停止するのが契約に違反しているのかということについては言及されていません。
ですので、今回の抗議が契約上の問題によって行われたのか、感情的な問題によって行われたのかは、不明です。

法的に訴訟するのは難しいのでは

仮に今回の問題が契約上の問題だったとしても、Amazonを法的に訴えるという手段はとりづらいです。
なぜなら、それによってAmazonとの関係が悪化し、今後の取引がなくなる可能性が出てくるからです。
Amazonはもはや一企業としてではなく、電子書籍配信のプラットフォームとしての立ち位置を確立しています。
Amazonの電子書籍配信というプラトフォームに乗ることで、自社のコンテンツを販売し、収益を上げることができるのです。

もちろん別のプラットフォームや、自社でプラットフォームを作ることは可能です。
しかし、それでは届けれられる消費者が限られてしまいます
Amazonにあるから買うとう消費者もいますし、ある1社のコンテンツを買うために、その会社の運営するサービスにわざわざ加入するのは手間です。
「だったら、面倒だからそのコンテンツを諦めよう」となる消費者も一定するいるはずです。
このようにAmazonという大きなプラットフォームに乗れないことによって、大きな機会損失が発生してしまうのです。

そう考えると、一時の利益を得るために、Amazonとの関係を悪化させるのは得策ではありません。
よって、そのような行動に出ることは考えにくいのでは、と思われます。

では、なぜ抗議をするのか

Amazonに要求を通すのが目的でないとしたら、なぜ講談社は抗議をするのでしょうか。
それは、ユーザーに対する釈明である可能性が高いです。
Amazonに抗議という形をとることで、間接的にユーザーに対し、「配信が停止されたのは講談社の意思ではない」ということを言っているのではないでしょうか。

ユーザー(Kindle Unlimited会員)への損害について

今回の騒動は講談社が被害者というイメージが強いですが、当然一般消費者も被害者です。
無料だと思っていた作品が、突然対象から外されたわけですからね。
もし、その作品を目当てにKindle Unlimitedに加入した場合、それは確実な損害となります。

しかし、Kindle Unlimitedサービスにおいては以下のような取り決めがなされています。

お客様は、Kindle Unlimited の会員として、本プログラムの会員である限り、Kindle 本を指定されたタイトルリストから選び、何度でも読むことができます。当サイトでは、随時本プログラムにタイトルを追加し又はプログラムからタイトルを削除することがあり、また当サイトは特定のタイトルの利用や利用できる最小限のタイトル数を保証するものではありません。
引用:Kindle Unlimited 利用規約より

つまり、「今現在読み放題対象となっているものが、ずっとそのままであることは保証しないし、急に対象から削除されることも可能性として十分ある」ということを言っているのです。
そして、それを了承したうえでサービスの提供をおこないます、というスタンスなのです。
なので、そのサービス契約を結んでいる以上、我々一般消費者は何も言うことができないのです。

ユーザーを大切にしていない、という意見もあるかと思いますが、Amazonも営利企業としてやっている以上、無条件でユーザーを大事にする義務はありません。
もともとKindle Unlimitedは、それによって収益を上げるというよりは、販促としての側面が強いです。
Amazon側も、今回の決定でどれくらいの不利益が出るかは試算しているはずです。
その上で、読み放題で漫画を読む層を大事にする必要はない、という判断だったのでしょう。

今後どうなるのか

今回の騒動では、プラットフォーム提供者がいかに強いかというのかを思い知らされました。
ルールを作る側であるAmazonに対して、コンテンツ供給者は強く出ることができません。
なぜなら、Amazonのプラットフォームに乗れないことは、コンテンツを供給できない事とイコールになるからです。

今後も同様の事件は起きてくるでしょう。
そうなった時にコンテンツの供給者は、どうやって自分の身を守るかを考えていかないといけないかもしれません。

【築地→豊洲新市場移転】盛り土、地下空間問題まとめ

昨今、巷を騒がせている、豊洲新市場移転に係る、盛り土、地下空間問題
なんとなく大変な問題なのはわかるけど、
・何が問題となっているのか、いまいちよくわからない
・それによってどんな問題が引き起こされるのかよくわからない
という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、この盛り土、地下空間問題の概要を見ていきたいと思います。

(※本記事は、執筆時点で公開されている情報をまとめたものです。
これが真実というわけではないので、参考程度にとどめておいてください。)
築地、豊洲、市場、移転

大まかな流れ

豊洲新市場移転に関して盛り土問題、地下空間問題など、いろいろな問題が騒がれています。
しかし、一つ一つの報道だけ聞いていると、なぜそれが問題なのかといったことが見えにくいです。
なので、まずは豊洲新市場移転について、大まかな流れをおさらいしましょう。

なぜ、移転する必要があったのか?

まずは、そもそもなぜ築地の市場を豊洲に移転することになったかということです。
主な原因は、施設の老朽化・狭隘化です。
要は、
・施設が古くなってきて、安全性や衛生面で問題が出てきたこと、
・施設が狭く、また拡張性がないので、取引量の増加に対応できない
ということです。

これらの問題を解決するには、施設の刷新が必要になります。
しかし、現在の築地の施設を改良するのは、時間・コストの面で現実的ではありませんでした。
なので、新しく施設を作る必要があったのです。

参考:なぜ移転整備が必要なの?

なぜ豊洲になったのか?

主に以下の3点から豊洲に決定したようです。

①広い敷地を確保できること
②流通、交通の面で利便性があること
③築地の近くであること

ちなみに、候補地は5つあり、その中で最も条件を満たしていたのが豊洲だったのです。

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引用:なぜ豊洲なの?

豊洲市場の土壌汚染問題

このように移転先となった豊洲ですが、大きな問題がありました。
それが、今取り沙汰されている「土壌汚染問題」です。

豊洲新市場予定地は、もともと東京ガスのガス製造工場がありました。
現在は撤去されていますが、それまではガスの製造・供給が行われていました。
そのガスの製造の過程で排出される副産物が、土壌汚染の原因となっているのです。
(ベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなど)

参考:豊洲新市場予定地の土壌汚染はどうするの?

なぜ汚染された地区に市場を移転するのか

この土壌汚染問題は、移転の計画が決定した石原都政時代に、既に確認されていました。
それでも、施設の建設を続行したのは、「対策によって十分安全性が保てるから」という判断のもとでした。

対策の概要は以下です。
①地上2mの土を無条件に掘削(地表の汚染物質対策)
②地下の汚染物質の除去(汚染濃度が高い部分のみ)、微生物処理、洗浄処理などの最先端の手法を採用
③液状化対策を実施(砂杭、コンクリート)
④砕石層を敷く(地下水が上がってくるのを防ぐ)
⑤汚染されていない土を4.5m盛る
⑥地下水管理システムで継続的にモニタリングを実施

つまり、法で定められた基準を十分超えている対策がなされているとのことです。

参考:万全な土壌汚染対策

上記の対策によって、安全性が十分に確保できる。
専門家団も含めた判断により、移転場所として豊洲で問題ないとの決定がされたのです。

しかし、実際は対策が十分でなかった可能性

そして小池都政時代、豊洲市場移転を直前に控え、再び内情の調査を行いました。
そこで、十分な汚染対策がされていない疑いが浮上しました。
後程詳述しますが、それが今回問題となっている「地下空間問題」です。

土壌汚染対策が不十分でないとの疑いのため、豊洲市場への移転は延期となりました。
その延期に伴って、様々な問題が発生しています。
もともと移転することでいろいろな計画が進んでいたのですから、当然ですね。

さらに、調査を進めていくうちに豊洲新市場自体にさまざまな問題があることが発覚してきました。

今回の騒動は、
・土壌汚染対策の不備やその他の問題
・そういった対策の杜撰さや不透明さ
・それに伴って引き起こされる副次的な問題
などが複合的に絡み合って、起きているのです。

盛土、地下空間問題について

豊洲新市場問題の流れをおさらいしたところで、本題である盛土、地下空間問題を見ていきましょう。
これは、簡単に言えば盛土、つまり土壌汚染対策がされていなかったことが発覚したという事件です。
そして、その発覚の引き金となったのが建物下に存在する地下空間の存在だったのです。

盛土、地下空間問題の概要

では、地下空間とは何だったのでしょうか。
これは、建物下にある高さ5メートルほどの謎の空間のことです。
では、なぜこれが土壌汚染対策の不備への疑いにつながるのでしょうか。

それを理解するために、今回の土壌汚染対策の概要をおさらいしましょう。
今回の汚染対策は以下のようなものであったと説明されています。

①地上2mの土を無条件に掘削(地表の汚染物質対策)
②地下の汚染物質の除去(汚染濃度が高い部分のみ)
③液状化対策を実施(砂杭、コンクリート)
④砕石層を敷く
⑤汚染されていない土を4.5m盛る
⑥地下水管理システムで継続的にモニタリングを実施

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今回の問題となった地下空間は、下の画像のように、建物の真下に広がっています。

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以上のことから考えると、地下空間が存在するということは、「⑤汚染されていない土を4.5m盛る」という対策がなされていないことになる。
つまり、十分な汚染対策がなされていないのではないか、という疑問がでてくるというわけです。
もし、これに大して合理的な説明があるのであれば、ここまで問題にはなりませんでした。
しかし、その理由や経緯も不明という状態なので、ますます不安が広がっているというのが現状なのです。

なぜ地下空間が存在するのか

正式な理由はわかりませんが、可能性として考えれるのは、「工期と費用」の圧縮です。
地下空間に盛土をしないとなれば、その分の費用と時間が短縮されます。
また、地下空間には既に建物の基礎が出来上がっているので、その上に建物を建てれば、基礎を工事する時間が短縮できます。
以上のような理由から、地下空間を盛土で埋めずに、そのまま利用したほうが合理的と判断したのではないかと考えられます。

盛土は汚染対策ではない可能性

ここまで、「盛土がされていない→汚染対策が十分でない」という説明をしてきました。
しかし、実は盛土は汚染対策目的ではないという見方も出てきています。
もし、そうだとしたら盛土がされていない(=地下空間が存在する)としても、土壌汚染対策という意味においては問題がないということになります。

その根拠となるのが、盛土はそもそも土壌汚染対策ではなく、嵩上げ目的だったのではないかという見方です。
豊洲はもともと工業地であり港湾なので、船の寄港に合わせて海抜が低くなっていました。
そのままだと、市街化した際に高潮や津波の危険性があるので、嵩上げする必要があったのです。

そのことを説明する際、どうしてそうなったのかは不明ですが、土壌汚染対策と嵩上げ対策を一緒にして説明。
それにより、盛土対策がなされていない=土壌汚染対策が十分でない、という見方をされてしまっているのです。

もちろん、これは東京都からの正式な説明があったわけではなく、あくまで推測に過ぎません。
このような可能性もある、という程度の認識でとどめておくのが無難でしょう。

参考:豊洲市場の盛り土は実は不要だった?なぜ盛り土は必要となったのか?
参考:豊洲市場の盛土の話 – Togetterまとめ

まとめ

たしかな情報が出ていないので、何とも言えないですが、今回の問題点は以下でしょう。
・地下空間の存在の経緯、理由が不明
・地下空間の存在によって、どのような問題があるのかが不明
・汚染対策がどうなされたのか、その対策は十分に安全と言えるのか不明

様々な方針決定の経緯に関する情報が残っておらず、不明な点が多すぎるというのが今回の大きな問題点です。
あまりにも不明な点が多すぎるので、不安になる。
不安になるから各々が勝手に解釈し、あらぬ情報が飛び交う。
それによって、さらに不安が増大する。
という悪循環に陥っているようです。

移転に際してもそうですが、移転先の市場自体もいろいろな問題を抱えているようです。
すしざんまい、なぜ豊洲新市場「千客万来」の整備を断念したのか 木村清社長「断腸の思い」
「狭くてマグロが切れない!」築地市場の豊洲移転で仲卸業者たちが悲鳴
築地市場関係者も今回の件が長引けば長引くほど、損害が増えていきます。

さらに今回の場合は、東京オリンピックの開催も絡んでいます。
つまり、国内の問題ではなく、世界にも影響を与えかねない問題なのです。

恐らくまだまだ問題は出てくるでしょうが、早急な対策、解決を願ってやみません。

2016/11/02追記:地下空間問題、責任者の特定が完了

豊洲市場の地下空間問題の責任者8名が特定。
速やかに懲戒処分を決めるとのこと。

地下空間が設けられた経緯としては、部課長級の会議にて「モニタリング空間が必要では」との意見が出たため。
その決定が発注した設計にも反映されたと見られている。

参考:豊洲市場の盛り土問題で8人の責任者を特定、石原氏は「ほぼノー回答だった」と小池百合子知事
会見動画

電通新入社員の過労自殺から考える日本社会の異常性

過労自殺

無責任な社会が未来ある若者の命を奪った

「死んでしまいたい」過労自殺した電通の新入社員 悲痛な叫び
いたましい事件が起こってしまいました。。
未来ある人間が社会の無責任さによって潰されてしまいました。

今回の事件は、劣悪な労働環境が原因とされています。
長時間残業、休日出勤、指導という名の罵倒…
誰が見ても異常な環境だとわかります。

しかし、今回の事件の根本原因は劣悪な労働環境ではないと思います。
今回の事件の引き金となったのは、「この過酷な環境から逃れることができない」という絶望です。
このような絶望を抱いてしまったから、生きてくことに希望が持てなかったのではないでしょうか。
だから、自ら命を絶つという結果になってしまった。

では、なぜこのような絶望を抱いてしまったのでしょうか。
それは、社会の無責任な刷り込みが原因でしょう。

普通に考えて、自殺するくらいならその会社を辞めたほうがいいに決まっています。
会社員の立場と自分の命。
そんなものは比べるまでもありません。

ですが、社会からの刷り込みによって、会社を辞めることができないのです。
それは、「一回レールから外れたら、次はない」という刷り込みです。
「新卒で入社した会社を辞めてしまったら、次はない。」
「新卒で入社した会社が一番いい会社。そこでやっていけないのは根性なしだ。」
そういった無責任な刷り込みです。

この刷り込みによって、過酷な環境にいる人間は、次のように考えてしまいます。
「新卒で入社した会社を辞めてしまっては、次がない」
「次がないということは、生活できないということ」
「だから、辞めることはできない」
このようなロジックでどんどん自分の逃げ場をなくしていきます。

「働かないと生きていけない」
「しかし、働くのは辛すぎる」
「生きるために働いているのか、働くために生きているのかわからない」
「こんな人生が続くなら、もういっそ消えてしまいたい」
辛さは絶望に変わり、生きる気力を奪います。

社会の無責任な風潮によって人は逃げ場を失います。
逃げ場を失えば、自分にかかる重圧から逃れることはできません。
そうなれば、人は簡単に潰れてしまうのです。

社会の在り方と個々人の考え方を改める必要がある

異常な労働環境を根絶することは、当然目指すべきことです。
しかし、実際問題それを実現するのは難しい。
だから、いつ自分も異常な労働環境に身を置くことになるかはわかりません。

そうなった時のために、私たちは考え方を改めなくてはいけません。
「辛い環境からは逃げてもいいし、それは別に恥ずべきことではない。」
「根性があるとかそういう問題ではない。生きるための当然の行動に過ぎない。」
無責任な社会の風潮に飲まれず、自分の考えをしっかり持つことが重要です。

そして、実際にそれが可能な社会を目指すべきです。
今はたしかにレールから外れた人間が復帰するのは難しい社会です。
それは、レールから外れない生き方がスタンダードであるという前提に立っているからです。
ですから、この前提を変える必要があります。
そうしなければ、「辞めたはいいけど、ほんとに生きていく手段がなくなってしまった…」ということになりかねません。
それでは、結局逃げ場がないのと同じことです。

社会の在り方と個々人の考え方。
これら二つの異常性をなくさない限り、同様の事件は繰り返され続けるでしょう。

この社会を生き抜くための考え方

こういった悲劇をなくすには、社会と個々人のあり方を変えていく必要があります。
しかし、現実的に社会の在り方を変えるのは難しいです。
戦後から今まで半世紀近くもこのシステムでやってきたのです。
いきなり変えることはできませんし、変えたところで新たな問題が噴出するだけでしょう。
ですから、社会の在り方を変えるのはむずかしいです。
まずは、あなたの考え方を変える必要があります。
では、日本社会につぶされないために、具体的にどうすればいいのか。
その考え方を見ていきましょう。

誰もあなたを守ってはくれない

まず、意識したいのが、誰もあなたを守ってはくれないということです。
それは国や会社も同じです。
国や会社は、別にあなたのお母さんではありません。
あなたを守り、面倒を見る義務はないのです。
まずは、そのことを理解しましょう。

社会や国に文句を言う、というのも実は甘えの裏返しに過ぎません。
文句が出るのは、期待をしているということでもあります。
「国や社会は自分を守るべき」という期待です。
しかし、その期待が裏切られてしまった。
だから、文句を言いたくなってしまうのです。

「守ってもらえる」というのは、完全に甘えた思考です。
自分の境遇を誰かが助けてくれることを夢見ているのです。
しかし、国や会社にそんなことをするメリットはあるでしょうか。
あなたを助けても一銭の得にもなりません。
あなただって、何のメリットもないのに人を助けたりはしないですよね。
見て見ぬふりをするはずです。
それと全く同じことなのです。
これは、非情でも冷酷でもありません。
社会というのはそういうものなのです。

自分を守るのは自分だけです。
そして、自分の人生は自分の責任で生きなければいけません。
そのことに気付ければ、自分で考えて行動しなければいけないということを理解できます。
そうすれば、異常な環境に身を置き続けることはなくなるでしょう。

一つの場所にしがみつかなくていいように力を付ける

この手の問題の原因は、その場所にとどまらないと生きていけないということです。
その職場に依存しないと生活の糧を得ることができない。
だから、不本意ではあるが、その場所にとどまる。
そうしているうちに、自分の人生に意味を感じなくなってしまう。
そして、命を絶ってしまうのです。

しかし、もしその場所から抜け出すという選択肢があったらどうでしょうか。
そうなれば、いたくもない環境に必死でしがみつくこともなくなります。
惨めな人生を生きなくて済むのです。

その場所から抜け出すという選択肢。
その選択肢を得るためには、力をつけないといけません。
どこに行ってもやっていけるような力。
それがあれば、一つの場所にしがみつく必要はなくなります。
気に入らなければ出ていく、ということができるのです。
そうした選択肢があれば、人生に絶望することもなくなりますよね。

ですから力をつけましょう。
力はすぐに身につくものではありません。
長い時間をかけて身に着けていくものです。
ですから、今この瞬間から鍛錬することが大事です。
抜け出したいと思った時では遅いのです。
自らの身を守るために、今から力をつけていきましょう。

人生は意外とどうにでもなる

ここまでいろいろと厳しいことを言ってきました。
しかし、一番大事なのは社会につぶされないことです。
つぶれてしまうくらいだったら、競争から降りたほうがいいです。
競争から降りて、思いっきり休むのもいいでしょう。
頑張ることは大事ですが、それで命を絶ってしまっては元も子もありません。
だって生きるために頑張っているのですから。

競争から降りてしまえば、生きていくのは難しい。
そのように思われる方もいるかもしれません。
しかし、そんなことはありません。
人生は意外とどうにでもなるものです。

たとえば、今は労働人口がどんどん減っています。
人材難のところが多く、有効求人倍率も高くなっています。
いわゆる売り手市場なのですね。
それに労働人口の減少は加速することはあっても、鈍化することはないので、ますます求人数は増えていくでしょう。
このような流れがあるので、転職や再就職のハードルはかなり低くなっています。
特に若い人だったら働く先には困らないでしょう。

また、勤めなくても稼ぐ手段はあります。
ネットビジネスだったり、今流行のクラウドワークだったり。
そういった就職しないで稼ぐ手段というのは、今後どんどん増えていくでしょう。
個人に能力さえあれば稼ぐことは十分に可能なのです。

それに、最悪バイトでも生きていくことは可能です。
バイトだったら誰にでもできますし。
もっと稼ぎたくなったら、頑張って上のレベルの職場に行けばいいだけです。
結局は自分の気持ち次第ということです。

あまり人生に悲観しすぎないことが大事です。
悲観しようがしまいが、結局は同じです。
だったら、気楽に生きた方がうまくいくと思いませんか?

関連記事 – 1991年 電通の過労自殺事件

電通では過去にも同じようなことが起こっています。
日本はこのころから何も進歩していないのかもしれません。
社会の在り方を変えるというのは、やはり難しいことなのです。
まずは、自分から変えていきましょう。
そうした人が増えれば社会もきっと変わっていきます。
【事例紹介】1991年 電通の過労自殺事件を紹介します。

 

通勤時間は無駄。何とかしてなくすことはできないか。

通勤時間を何とかなくせないものか。
働く人なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
この通勤時間を何とかしてなくせないものでしょうか。

時間、有効活用

私たちは年間480時間も無駄にしている

通勤時間は完全に無駄な時間です。
そもそも電車に乗っている時間というだけで、やることが制限されてしまい、無駄な時間となります。
さらに通勤時間帯は満員状態です。
もはや本すらも読めないような状態ですよね。
その状態で片道1時間以上、往復で2時間も過ごすのです。
どう考えても無駄です。

それを月20日として12か月間、240日ほど繰り返すのです。
年間で、240日×2時間=480時間。
まるまる20日分無駄にしていることになります。

もし、この時間を他のことに充てたらどうでしょうか。
仮に本を1冊2時間で読めるとしたら、年間で240冊読めます。
資格の勉強でも480時間も勉強したら、大抵の資格はパスできます。
少なくとも簿記2級や情報処理試験レベルであれば十分でしょう。
それくらいの時間を日々無駄にしているということです。
もったいないですよね。

通勤時間をなくす方法

通勤時間は完全な死に時間です。
なんとかして通勤時間をなくすことはできないのでしょうか。

空いている時間に通勤する

一番簡単なのは、空いている時間に出勤することです。
そうすれば、少なくとも満員状態ということはないので、電車の中でも多少時間を有意義に使えます。
しかし、とはいってもやはり電車なので、できることは制限されています。
仕事をするにしても集中して何かをするということは難しいので、せいぜいメールチェックとか予定の確認くらいでしょうか。
後は、本やニュースを読んで情報をインプットするくらいですね。

空いていると言っても電車の中なので、できることは限られています。
私も空いている時間に通勤していますが、やはり時間を無駄にしている感は否めません。
満員電車に乗るよりはマシといった程度ですね。

職場の近くに住む

お金に余裕があるなら職場の近くに住むのが一番いいです。
場所によっては電車に乗らなくても済むわけですからね。
今まで1時間通勤に要していたのがゼロになれば、その時間を丸ごと他の有意義な活動に充てることができます。

しかし、ここで問題になるのが家賃の問題です。
一般的に家賃は都心に近付くほど高くなります。
そしてオフィスは大体、都心にあります。
つまり、職場の近くに住むためには、高い家賃を払わないといけないということなのです。

通勤時間によって浪費される時間は、月40hほどです。
対して都心のそばに住むのにかかる家賃が10万円としましょう。
そうすると、時間対費用ではペイできない計算になります。
必ずしも職場の近くに住み通勤をなくすことが、金銭的に合理的というわけではないようです。

しかし、通勤時間がなくなるというのは、その時間を有効活用できたり、精神的に健全になったりするというメリットもあります。
これらは金銭的な価値に換算することが難しいですが、たしかに価値のある効果です。
ですから、お金に余裕があるのであれば、職場の近くに住むというのは悪い選択肢ではないです。

リモートワークが許可されている会社に行く

あとは、今流行のリモートワークが許可されている会社に行くということが考えられます。
リモートワークだからと言って、完全に通勤がなくなるわけではないと思いますが、通勤が週に1回とかになるだけでも、だいぶ楽になりますよね。

新しい試みなので、普及はそれほどしていませんので、そういった会社を探すのも大変でしょう。
また、そういったことができる会社はある程度セキュリティがしっかりた会社でないと難しいので、それなりの規模以上のところでないと難しいです。
必然的に入社のハードルも高くなります。

意見を持ち続けることは大事

いろいろ考えてみましたが、通勤時間をなくすのはなかなか難しそうです。
まあ当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが。
ですが、そういった一般論で思考停止をしていては、世の中は一向に良くはなりません。
おかしいものをおかしいと主張できなければ、世の中はどんどんおかしな方向に進んでいってしまうのです。

正直、この問題は個人が努力したからと言って、どうこうなる問題ではないです。
しかし、だからと言ってそのことから目をそらすのは間違っているでしょう。
解決はできなくても、問題であると認識し続けることが重要なのです。
その意識すら失ってしまえば、世の中はどんどん停滞していきますから。

今回はたまたま通勤に関してですが、このこと以外にもいえることだと思います。
自分の日々の生活の中でいろいろなことに考えを巡らせ、一つでも多くのおかしいをみつけること
そのように意識することが、社会をよくしていくための一歩なのではないかと思うのです。