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ムダな努力をやめるために「見えない前提」に気を配ろう

ムダな努力をやめる方法, 無理の構造

一生懸命頑張っているのに、全く成果が出ない。
もし、現在そのような状態に陥っているのであれば、それは「見えない前提」に気付いていないからかもしれません。
では、どうすればムダな努力をしないで済むのか?
今回は、無理の構造から無駄な努力をやめるために「見えない前提」について気を配ることが重要であることについて見ていきます。

まとめ

無理の構造 - まとめ画像

要旨

人がムダな努力をしてしまうのは、世の中に存在する「見えない前提」を認識していないから。

例えば、下から上に上がるのは、重力という目に見えない力に逆らって進むため難しい。
重力の場合は、まだ目に見えたり実感したりすることができるので、認識することは難しくない。

しかし、世の中には認識することが難しい前提も多々存在する。
例えば、
・言葉の曖昧性によってコミュニケーションは常に齟齬が発生する
・物理的なもの以外も時間の経過とともに劣化していく
・人間は生まれつき平等ではない
など。

こうした前提を無視することによって、我々はムダな努力をしてしまう。
ムダな努力を回避するためには、こうした「見えない前提」を認識する必要がある。

本書では、日常生活でよくみられる「見えない前提」をいくつか紹介していく。

ただし、これは一例に過ぎない。
本当に大事なのは、自分が「見えない前提」を無視して行動していないかを常に疑ってかかることである。

世の中にはびこる「見えない前提」

具体よりも抽象の方が強い

個別の事象である具体よりも、広範なものに応用が利く抽象の方が価値があり、強力である。

例えば、
「この土地はたくさん農作物が取れる」よりも
「日照時間が長く温暖な土地は農作物がたくさん取れる」の方が情報としての価値は高い。

前者の情報は、その土地が良い土地であるという情報にすぎない。
しかし、後者の情報であれば、その条件を満たす土地を探すことができれば、良い土地を確保できる可能性が無限にあることになる。

このように情報においては、圧倒的に抽象の方が強力である。

物質的なものにおいてもこの法則はある程度通用する。

例えば、具体的な商品よりも抽象的なお金の方が価値が高い。
なぜならお金の方が交換可能性が高いからである。
だから、常に売り手よりも買い手の方が強い立場となる。

しかし、これは現在の飽和社会においてのみ通用する。
例えば、物資が圧倒的に足りていない社会の場合は、お金よりも具体的なものの方が価値が高い。
それは、広範な応用性よりも、今目の前の空腹を満たすことの方が重要だからである。

言葉の曖昧性

言葉の定義は人によって異なる。
例えば「面白い」という言葉を一つ取っても、どういう風に面白いのかは千差万別である。
「笑える」のか「興味深い」のか、はたまた「感情が揺さぶられる」のか。
もっと言えば、この「笑える」というのも人によって定義は異なる。

このように、言葉の定義と言うのは人によって異なる。
そうであれば、その言葉を前提としたコミュニケーションには当然行き違いが発生する。

「なぜこれだけ言ったのに伝わらないのか?」
と憤ることもあるかもしれない。
しかし、それはコミュニケーションの特性上仕方がないことである。

伝わらないことを嘆くのではなく、伝わらなくて当然という風に態度を変えることでムダな努力を回避することができる。
伝わらないことを前提に、どうすればいいのかを考えるようになるからである。

不可逆性

ある状態へ行くのは簡単だが、戻るのは難しい。

例えば、
上から下に降りていくのと、下から上に上っていくのでは、明らかに必要なエネルギー量に差がある。
知らない状態から知っている状態に移ることはできるが、一度知ってしまうとそれを忘れることは難しい。

「ダメだったら戻せばいい」
という考え方がある。
しかし、世の中には戻せないものも存在する。
そのことを認識することでムダな努力を回避することができる。

組織の不可逆性

組織は時間の経過とともに劣化していく運命にある。

例えば、会社で考えてみる。
創業間もないベンチャー企業は個性的な人材がそろい、革新的である。
一方、成長して大企業になると人材は没個性化され、保守的になっていく。

これは、社内の制度が整うことによって創意工夫の余地が無くなっていくためである。
そのため、決まったオペレーションに従って業務を遂行できる人間が重用される。
それによって、没個性化、保守化が進んでいく

政治にも同じことが言える。
体制が立ち上がった頃は少数による独裁制がとられる。
そのため革新的な意見が通ることも多い。

しかし、民主化が進むと少数派の意見は通らなくなる。
最大公約数的なマイルドな政策がとられることになる。
結果として大胆な変化を起こすことはできなくなる

このように、組織は劣化していく運命にあり、その劣化にさらうことは難しい。

また、大胆な変革が起こせないと、周りの環境についていく事ができなくなる。
例えば、グローバル化についていけない大企業や少子高齢化に対して有効な対策を打ち出せていない政府など。
それが進み、時代の要請に耐えられなくなった時、新しい体制が誕生する。
そして、その体制も時間とともに劣化していく。

ストックの単調増加性

物理的なもの、概念的なものに関わらず、一度増やしたものを減らすのは難しい
なぜなら、減らすことにリスクや抵抗が存在するため。

例えば、知識、ルール、部屋の掃除、システムの機能etc…

知識を忘れることは難しい。
ルールを減らすことは、人々の不安を煽り、それが抵抗となる。
部屋のものを捨てるのは心理的な抵抗が存在する。
システムの機能を削除する際は、それが他に影響を及ぼすのではないかという不安が抵抗となる。

このように、あらゆるものに対して、ストックの単調増加性の法則は適用できる。

人は公平ではない

人は生まれつき公平ではない。
身体的な特徴、知能の差、家柄、生まれた国…
そうしたあらゆる不平等を前提に生きていかないといけない。

普通に生きているだけでも美しい人は人から良くされる。
容姿のすぐれない人間は何もしていないのに、嫌われる。

能力の高い人間は、それほど努力しなくても、高い成果を上げることができる。
そうでないものは、人の倍以上努力しないといけない。

このように、人は平等ではない。
そのため、ある行動をしたからと言って、ある結果が得られるわけではない。
なぜならスタート地点が異なるからである。

これを理解していれば、そのスタート地点をそろえようとしたり、
そもそもその土俵で勝負をすることに可能性が無いことを理解し、別の方面で努力しようなどと考えることができる。
ムダな努力を避けることができるのである。

経験則はそれが通用した「前提」の方が重要

経験則と言うのは、ある前提(状況)においてのみ有効なものであり、本当に重要なのはその「前提」部分である。

例えば、以下の相反する二つのアドバイスがあるとする。
・諦めなかったから成功できた。
・素早く見切りをつけて、方向転換したから上手くいった。

これは、どちらも正しい。
しかし、どちらもある状況においてのみ正しいと言える。

努力が芽を出す可能性がある場合は、諦めないで続けることが重要かもしれない。
全く見込みがないのであれば、見切りをつけることが大事かもしれない。

このように重要なのは、アドバイスそのものではなく、なぜ上手くいったのか、その前提となる条件の方である。
そのため、何も考えずにアドバイスに従っても上手くいくとは限らない。

人の意識を変えることはできない

人に外部的に知識を与えることは簡単だが、意識を変えることは難しい
例えば、いくら勉強の重要性を強調しても、実際に勉強をしようとする人間は一握り。

勉強の重要性という知識を与えることはできるが、勉強をしようと思わせることは難しい。
自分で勉強をしようと思わなければ、行動を起こすことはない。

それと同じで、意識を変えるためには、本人自ら変わろうと思わない限り変わらない
だから、意識を変えさせたいならば、頭ごなしに押し付けるのではなく、その気にさせてやることが必要。
(例:「北風と太陽」の童話)

この記事の概要

・上手くいかないと感じたら、「見えない前提」や「見えない構造」を無理していないかを疑ってみることが大事。
・「見えない前提」や「見えない構造」を見つけたらメモしておく。

カテゴリー: 努力
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