未来の無い客先常駐、派遣SEを脱するための3つの方法
プログラマーやSEの業務形態として、客先派遣というものがあります。
現場によってまちまちなので、一概には言えないですが、客先派遣と言う働き方では将来が危ういです。
給料が上がる可能性も低いですし、たいしたスキルもつきません。
客先派遣という働き方を続ければ続けるほど、将来の可能性が狭まっていきます。
脱出するのであれば、なるべく早めにすることが大事です。
では、どうすれば客先常駐を脱し、将来性のある職場に身を置くことができるのか。
今回はその方法について見てきましょう。
目次
客先常駐、派遣SEのデメリット
脱出方法を考ええていく前に、まずは客先常駐、派遣SEという働き方がなぜ良くないのかということを見ていきましょう。
デメリットを客観的に認識することで、脱出の必要性を強く感じることができます。
必要性を感じれば、自然と行動にも移せるというわけです。
思考力、応用力が身につかない
客先常駐、派遣SEと言うのは、現場での権限が少ないです。
もともと顧客がシステムを管理しており、そこの管理を1次請けベンダーに任せます。
その1次請けベンダーが要因補充のために客先常駐や派遣SEを使用します。
このことからわかる通り、権限や決定権を持っている人からかなり遠い立ち位置で仕事をしないといけないということです。
当然、何かを自分で判断するということはできません。
そのためには、1次請けベンダーや顧客の承認を得ないといけません。
実際には何かを決めるのは顧客と1次請けベンダー間で行われます。
派遣SEはそこの議論には加われず、最終的に決定したことだけをすることになります。
つまり、何かを自分で考えたり、判断したりすることはありません。
ただ、言われたことをするだけなのです。
言われたことだけをしていると、思考力や応用力が身につきません。
自分で考えないのですから当たり前です。
また、なぜそれをするのかという背景や目的がわからないため、応用が利きません。
作業に対する理解が、ただ言われたからやるだけ、というスタンスになってしまうのです。
応用の利かない仕事はスキルアップにはつながりません。
別の現場で同じような状況に対面した時、その背景や理由がわかっていれば、それをもとに似たような解決策を打ち出すことができます。
しかし、ただ言われていただけでは、本当の意味で解決策を出すことはできません。
客先常駐で言われたことだけをしていては、思考力や応用力が身につきません。
それではいくら仕事をしても、自分に経験として積み上がっていかないのです。
やりがいがない、面白くない
客先常駐、派遣SEは決定権がありません。
何をするにも発注元の意向をうかがわないといけません。
仕事でいい解決策を思いついても、それが承認されなければ実施することができません。
逆に明らかに悪い解決策であっても、上の決定であれば、それを覆すのは難しいです。
このような状況で楽しく働くのは難しいでしょう。
また、そのような状況にいると向上心もなくなってきます。
どれだけいい解決策を考えても、それが採用されない。
それがつづけば考えることも嫌になってきます。
また、仕事にいかせることができないので、スキルアップや勉強をする意欲もなくなってきます。
仕事で裁量がないと、このようにだんだんやる気がなくなってしまうのです。
給料が低い
客先常駐、派遣SEはお金の出元から遠いです。
お金は顧客、つまり事業会社のシステム部門が出しています。
そのシステム部門がまず1次請けベンダーに仕事を発注します。
そして、そのお金で1次請けベンダーが下請けSEに仕事を発注するわけです。
下流に行けば行くほど、マージンを抜かれます。
1次請けベンダーがもらったお金をそのまま下請けに払ったら、1次請けベンダーの利益がでません。
利益分を差し引いた額を予算として、下請けのSEを雇うのです。
だから下に行けば行くほど、発注元から離れれば離れるほど、もらえるお金は少なくなってくるのです。
システムの全体像が見えない
下請けSEでは、システムの全体像が見えないです。
下請けSEの仕事と言うのは、上流のベンダーが細分化した作業をこなすといったものです。
例えば、あるシステムがあり、その中に機能A、機能B、機能Cがあるとします。
さらにその機能の中で小機能a,b,cがあるとします。
そうなると下請けSEが担当するのは小機能aの範囲にとどまるようなものになります。
そのため全体像が見えにくいのです。
全体像が見えないと、作業の目的が見えません。
小機能aの処理内容はわかりますが、なぜそういった処理をしているのかということがわからないのです。
その小機能はシステム全体の中で何らかの役割があるはずです。
その役割を果たすために、中の処理が定義されています。
しかし、システムの全体像や構成がわからないので、その小機能の目的が見えないのです。
そうなると、設計や要件と言ったより高度な工程を行う力がつきません。
上流の工程に行けなければ、スキルアップも収入の向上も望めません。
レベルの低い人間しかいない
下流の仕事をしていると能力は上がっていきません。
長い間下請けSEとして働いていると、能力は低いままになってしまいます。
ということは、今いる会社の先輩や上司と言うのは、レベルが低い人たちだということです。
レベルの低い人たちに囲まれると、自分もそのレベルにとどまってしまいます。
向上心の高い人がいないので、自分もその程度しか頑張りません。
目標とするべき人もいないので、成長することに対してもモチベーションが持てません。
周りのレベルが低いと、自分もその程度でいいか、と言う風に思ってしまうのです。
しかし、今の時代は成長を止めてしまったら生きていくのは難しいです。
周りにその意識がないと、自分もそれに引きずられてしまいます。
向上心がないことに対し、危機意識を持てなくなるというのが最大です。
客先常駐、派遣SEを脱するための3つの方法
客先常駐、派遣SEでは、スキルアップも収入の向上も難しいです。
成長への意欲を保つこともできないので、これからの時代を生きていくのも難しいです。
では、どうすれば客先常駐、派遣SEを脱することができるのかを見ていきましょう。
システムの全体像を把握する
スキルアップするためには、幅広い知識が必要です。
下請けで仕事をしていると、仕事の範囲が狭いです。
プログラミングだったらプログラミング。
インフラだったらインフラと言ったように。
ある分野の仕事しかできません。
しかし、一つの分野だけと言うのは弱いです。
もちろん一つの分野に強いのはいいことですが、それだけではいけません。
他の分野をある程度知っていることによって、その分野が生きてきます。
プログラミングはインフラが整っていてはじめて動作します。
プログラミングだけできても、自分で動くものを構築することはできないのです。
逆も同じことで、インフラの整備だけでは、動くものを作ることはできません。
システムと言うのは結局のところ動かなければ意味がありません。
いくら得意なことがあったとしても、全体として動くものを設計できないと意味が無いのです。
そのためにまずは自分が携わっているシステムの全体像を把握しましょう。
一つ一つの詳細を知る必要はありませんが、概要を把握することは大事です。
それと並行して、疑問点が出てきたところを勉強していきます。
それを繰り返していく事で、システムを構成する要素についての理解が深まっていきます。
業務知識を身につける
上流に携わるためには、業務知識が必要です。
システムと言うのは、業務の中で機能してはじめて意味のあるものとなります。
つまり、業務を無視してシステムを設計することはできないのです。
ですから業務とシステムに詳しい人間と言うのは重宝されます。
しかし、業務の中で業務知識を得るのは難しいです。
細分化された仕事をこなすので、業務知識を意識することがあまりないからです。
業務の中で身に着けていくのは難しいなら、独学で学んでいくしかありません。
自分の携わっている業界の入門書などを読むのがいいでしょう。
流通業や保険、銀行、医療…。
そういった自分の顧客の業界の基本や常識を身につけることが大事です。
そうした知識があれば、自分の担当する機能から全体像を類推することができます。
例えば保険金の変更処理などと言われても、保険金が何なのか、どのように金額が決まるのかなどがわからないと、何のために何をしているのかわかりません。
しかし、さわりだけでも業務知識がわかれば、処理の目的をおぼろげながらでも理解することができます。
そして、わからないことがでてきたら、また勉強すればいいのです。
学習の取り掛かりがあるだけでも随分変わってきます。
システムと業務の両方を知っている人間は強いです。
顧客と共通の言語を使ってコミュニケーションができます。
また、顧客と同じ視線で提案をすることもできます。
そうすることによって、本当に価値のあるシステムを作ることができるのです。
スキルアップ、勉強する
そして最後はスキルアップです。
一番手っ取り早いのは資格を取ることでしょう。
その中でも最も汎用性の高い資格である、情報処理試験を取得するのがおすすめです。
システム構築の概要や、IT業界の常識を一通り学ぶことができます。
また、転職の際にも、最低限の知識があることや学習の習慣があることをアピールすることができます。
取得することで、様々なメリットがあるのです。
後は、DBの資格(Oracle)やネットワークの資格(Cisco)などの資格も汎用性が高いです。
DBやネットワークはどのシステムでも必要な要素です。
なので、どこに行ってもその知識は役に立ちます。
そして、そういった知識を持っている人はどこにいっても重宝されます。
このように汎用的な資格を取得することも大事ですが、自分の興味のある分野を突き詰めるのもいいです。
例えばある言語やライブラリを学習するなどです。
何か簡単なアプリを作ってみるのが一番でしょう。
とにかく大事なのは、常に勉強すること、常に成長を心がけることです。
知識と言うのは風化しますが、学ぶ力と言うのはいつの時代でも役に立ちます。
客先常駐、派遣SEにはメリットもある
ここまで客先常駐、派遣SEのデメリット、そしてそこからの脱出方法を見てきました。
しかし、客先常駐、派遣SEも悪いことばかりではありません。
考え方によってはいい面もあります。
もし、そのいい面を享受することができるのであれば、急いで職場を変える必要もありません。
それでは、客先常駐のメリットを見ていきましょう。
未経験でも実績が作れる
客先常駐、派遣SEは未経験でも実績が作れます。
この仕事は常に人手不足です。
現場によっては労働条件が過酷だったり、先に説明したようにやりがいが無いので、長く居付く人が少ないのです。
また、最近はIT業界の仕事量が増えており、相対的に人が不足しているのです。
なので、未経験であっても比較的簡単に職に就くことができます。
なので、未経験でSEを目指したいという人には実績を作るのにうってつけです。
しかし、先ほど説明したように、担当できる仕事のレベルは低いです。
0を1にするにはいいですが、それ以上を求めるとなると、より上の職場に行く必要があります。
そうするだけの気概があるのであれば、客先常駐、派遣SEはそれほど悪い選択肢ではありません。
広く浅く経験できる
客先常駐、派遣SEは、その性質上いろいろな現場を転々とすることができます。
それによって様々な経験を積むことができます。
いろいろな言語、DB、システム構成、業務知識。
しかし、色々なものに触れられる反面、その知識は浅いままです。
ひとつのものに深く携わることがないからです。
ですから、今の現場の要素技術や業務知識に深く携わるというよりは、いままでの現場との共通点を探すようにした方が良いです。
そうしているとどこの現場でも共通しているものが見つかります。
それが見つかれば、今度新しい現場に行った時も、その知識を足掛かりに進めていくことができます。
そして、自分が深く入り込みたい分野ができたら、客先常駐はやめましょう。
事業会社や自社サービスを展開している会社など、一つのシステムに長く携われる場所に行くべきです。
そうすれば、自分が極めたい分野に深く携われることができるからです。
結局は現場次第
ここまでいろいろなことを述べてきましたが、結局のところ現場次第ではあります。
客先常駐でも、幅広い仕事ができたり、大きな裁量を与えてもらったりもします。
そういう場合は、あえてその場所を変える必要はないでしょう。
なるべく長くいて、経験を積む方が良いです。
しかし、いくら経験を積んでも、やはり下請けである以上は給料の大幅な上昇は見込めません。
ある程度の経験を積んだら場所を変えるべきでしょう。
長期的な視点でキャリアのビジョンを考えよう
客先常駐や派遣SEにはデメリットも多いですが、メリットもあります。
トータルで考えてみて、そこにとどまるのと場所を変えるののどちらが得かを考えましょう。
そして、それを考える際はなるべく長期的な視点で考えることが大事です。
給料も低くて、労働条件も悪いが、いろいろな経験が積めるような場合。
すぐに場所を変えてもいいのですが、修行のつもりである程度そこにとどまるのもいいでしょう。
そして、経験が積めたら、より条件のいい職場に転職するのです。
おそらく今のレベルで転職をしても、同じようなレベルの職場にしか行けないはずです。
今より仕事は楽になるかもしれませんが、成長速度は遅くなります。
だったら向こう数十年のことを考え、数年辛いのを我慢して、レベルアップをした方が良いです。
このように目先の利益だけでなく、長期的なメリット・デメリットを考えて職場を決めていくことが大事です。
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