優秀な人に共通することとは何でしょうか。
頭がいいこと、知識が豊富であること、経験がたくさんあること、機転がきくこと…。
優秀といってもいろいろな要素があるかと思います。
しかし、優秀なことに共通するのは、成果を出せるということです。
では、成果を出すためには一体何が必要なのか。
それは「一を聞いて十をする」能力です。
現代は、予測のつかない時代になりつつあります。
人口は減り、テクノロジーはものすごいスピードで発達し、企業の設立から倒産までのペースもどんどん短くなってきています。
今までの経験、知識、常識が通用しない時代になってきています。
そうした時代においては、経験や知識によらず、現状を正しく観察し、限られた情報から未来を予測する力が必要になってきます。
それはまさに一を聞いて十を知るということなのです。
では、どうすればそうした優秀な人間になることができるのか。
今回は、その方法についてみていきます。
目次
一を聞いて十を知るとはどういうことか
一を聞いて十を知る人になる方法を見ていく前に、まずは一を聞いて十を知るとはどういうことなのかを考えていきましょう。
それがどういうことなのかを知ることで、そうなるための効果的な方法が見えてきます。
少ない情報から全体を想像できる
一を聞いて十を知ると聞いて、まず思い浮かぶのがこれではないでしょうか。
まさに一の情報を聞くだけで、全体である十を想像することができるのです。
たとえば、ある仕事の説明をされたときに、前の仕事と似ている部分があることに気づきました。
その前提条件であれば、また同じような進め方になるということまで想像できたとします。
そうすれば、その人はまだ仕事が始まったばかりの段階から、最終の局面までが見えているということになります。
まさに、一の状態から、終わりである十を知ることができているのです。
このような推測を行うには、引き出しがたくさんあることが大事です。
知識、経験…。
そうしたものがたくさんあればあるほど、類推する際の手掛かりになります。
引き出しが多く、少しの情報からでも関連する情報を引っ張ってくることができる。
これも一を聞いて十を知るという能力の一要素です。
経験がないものは類推する
一を聞いて十を知るためには、知識や経験の引き出しがたくさんあることが大事でした。
しかし、たくさん引き出しがあったからと言って、今後起こることをすべて網羅するのは不可能です。
当然、今まで直面したことのないような問題に当たることだってあるはずです。
一を聞いて十を知ることのできる人は、そこで類推をします。
類推とは、似たような自称、もしくは全く異なる事象から、現状との共通項を見出すことです。
例えば、リーダーの仕事を振られたとします。
しかし、あなたにはリーダーとして仕事をした経験はありません。
そこで諦めてしまうのではなく、似たような経験を探すのです。
例えば、部活動の部長の経験、バイトリーダーの経験、仲間内のイベントの企画をしたとき…。
何かしら似たような経験はあるはずです。
その中で学んだことが、今回も適用できないかを考えてみるのです。
例えば、全員を動かすためには、前もって調整をしないといけないなど。
そうした経験は今回の仕事でも十分に適用できます。
前もって分担とスケジュールを考えて、作業を振るのです。
このように経験がないことでも、似たような事象から使えるものを引っ張ってきて何とかすることも、一を聞いて十を知る人の特徴といえます。
この能力があれば、今までやったことのないことでもこなせるようになります。
そして大体のことというのは誰しも未経験のことです。
そうであれば、ほとんどのことをする際にこの能力が必要になるのです。
逆にこの能力がないと、手順の決まった単調な仕事しかできません。
とっかかりが何もないときはゼロベースで考える
一を聞いて十を知る人でもどうしようもない時というのがあります。
それは、とっかかりになるようなヒントが何もないときです。
今までにやったことがないし、ほかに使えるような経験もない。
そんなときはどうすればいいのでしょうか。
そのような事態を乗り切るためには、ゼロベースでものごとを考えることが重要です。
ゼロベースとは、本当に何もない状態から自分ですべてを考えることです。
では、どうすればゼロベース思考でものごとを考えられるようになるのでしょうか。
そのために重要なのが論理的思考です。
ゼロベース思考とは言ってしまえば、当たり前のロジックを積み上げていくことです。
目標を達成するためにはどうすればいいか。
まずは、目標を具体化する必要がある。
では、どうすれば具体化できるか。
定量的な指標、例えば数字などで表す必要がある。
どうすれば、適正な指標を設定できるか。
自分が達成したい目的を満たすためには、どの程度必要なのかを試算する必要がある。
…
このように当たり前の論理を積み上げていくことで、何もない状態から少しずつ答えに近づいていくのです。
これができれば、何もとっかかりのない状態でも、ものごとをうまく進めていくことができるのです。
一を聞いて十を知る人になるための3つの方法
ここまで一を聞いて十を知る人がどのような能力を有しているかを見てきました。
・引き出しが多い
・類推する能力が高い
・論理的思考力がある
これらが、一を聞いて十を知る人に共通する能力です。
ということは、これらの能力を鍛えることができれば、同じように優秀になることができます。
では、ここからはどうすればそれらの能力を高めることができるのかを見ていきましょう。
引き出しを増やす
とにかく何でもやってみる
引き出しを増やすには、まずは経験を積むことが大事です。
ひとつでも経験が多ければ、その分だけ思考の際のヒントが増えます。
では、経験を増やすためにはどうすればいいでしょうか。
そのためには、とにかく何でもいろいろやってみることが大事です。
一見関係ないものであっても、何かをするのに役に立つことはあります。
例えば、趣味でやっていたことが仕事の役に立つなど。
経験があるかとは思いますが、以前やったことが、思わぬところで役に立つということがあります。
ですから、役に立つかどうかを考えずに、とりあえずやりたいと思ったらやってみるのがいいです。
本を読む
経験を積むのは大事ですが、それだけでは引き出しを増やすのには限界があります。
経験できることと言うのは限られています。
お金が足りなかったり、時間が足りなかったりと、制約によってできないことはたくさんあります。
そうした時は、本で経験を補うのが良いです。
本であれば、手軽に他人の経験を知ることができます。
例えば、やったことのない仕事でも、その仕事を以前にやった人が書いた本を読めば、その人の経験を追体験することができます。
手軽に経験を積むには、本を読むのはうってつけです。
ただし、本の知識と言うのは所詮は本の知識です。
実際にやってみれば違うこともたくさんあります。
あくまで参考程度にすること、本を読んだだけで分かった気にならないことが大事です。
人の話を聞く
人の話を聞くだけでも、いろいろなことを追体験することができます。
直接聞くことで、本よりも密度の高い情報が得られます。
また、質問することもできますので、知りたいことをより詳細に知ることができます。
ただし、条件にあった人を探したり、その人の予定を押さえるのが難しいという欠点もあります。
人を良く観察する
人を観察することでも情報を得ることができます。
例えば、自分よりも上の仕事をしている人、上司や先輩を観察すれば、実際にその仕事をする時に役に立ちます。
その人の時間を取ることもないので、実践するのは比較的簡単です。
しかし、よほど鋭く観察しないと気づきを得られないこと、教えてもらえるわけではないので、自分で考えながら見ないと学びを得られないといった難しさがあります。
気軽に実践できる反面、うまく学ぶためには慣れと集中力が必要です。
類推する力をつける
抽象化能力を鍛える
類推するためには、ものごとの共通項を探し出すことが必要です。
ものごとの共通項を探すためには、抽象化する力が必要です。
抽象化とは、ものごとの特徴を抽出することです。
例えば、文章を書くというのは以下の工程に分解できます。
・テーマを決める
・構成を決める
・書く
・調整する
これは、何か他の作品、例えば絵を描く時にも通じます。
・表現するものを決める
・配置を決める
・描く
・バランスを調整する
これらの共通項を考えると、以下のようになります。、
・方針を決める
・構成を決める
・実際に作る
・仕上げ
この共通項がわかれば、他のものにも応用できます。
仕事をするにも
・進め方を決める
・担当を決める
・実際に作業する
・レビューする
と言う風に応用できます。
このように、抽象化する能力があれば、経験のない物でも類推することができるのです。
毎日振り返りを行う
類推する力をつけるには、毎日振り返りを行うことも有効です。
この振り返りを行う際には、学びを一般化することが大事です。
例えば、仕事の最中にメールを見ないという学びがあったとします。
これは一般化すれば、作業中に中断が発生しないようにするということです。
そのままでは限定された状況でしか使えませんでしたが、一般化することによっていろいろな状況でも適用することができるようになります。
集中するときは電話がかからないようにする、家族にあらかじめ話しかけないでほしいとお願いしておく、などです。
一般化することによって抽象化する脳力が高まります。
抽象化能力が高まれば、類推する能力も高まるのです。
論理的思考力を鍛える
本を読む
論理的思考力を身につけるには、言語を操るのが一番です。
言語と言うのは、論理の塊です。
ある文章は、前の文章を受け、次の文章へと論理をつなげています。
言語を操るので一番簡単なのが、文字を読むことです。
文字を読むことも立派な論理的思考です。
その文章で表現されている論理を理解するためには、読み手自身も論理的な思考力が必要です。
つまり、文字を読むことによって、論理的な思考力が自然と鍛えられていくのです。
文章を書く
文章を書くのは、読書をする事よりも、論理的思考力を鍛えることができます。
文字を読むのは受動的ですが、文章を書くのは、自ら論理を作り出す必要があります。
その過程で論理的思考力が鍛えられるのです。
これからの時代は一を聞いて十を知る能力が必要不可欠
冒頭でも少し書きましたが、これからの時代は一を聞いて十を知る能力が非常に重要になってきます。
それには主に二つの要因があります。
一つ目は、時代の移り変わりのスピードが急激に早まっているということです。
トレンドの移り変わりは激しく、企業の倒産も早くなっています。
商品の寿命さえもどんどん短くなってきています。
これらの原因は、テクノロジーの急激な進歩です。
テクノロジーが発達すれば、それを前提とした仕組みや会社が生まれてきます。
例えば、スマートフォンの出現によって携帯電話はなくなりました。
半導体技術のコモディティ化により、電気製品は安価で生産が可能になってしまいました。
それによって、その業界に携わる会社や仕組みが刷新されました。
そしてこうした変化は年々早くなっています。
そうした中で、今までの経験や知識というのは通用しません。
前提がまったく異なるのですから、それを適用することが難しいのです。
そうした中では、まったくの未経験の状態から何とか道筋を見出さないといけません。
まさに、一を聞いて十を知る力が必要になってくるのです。
また、二つ目の要因としては、AI(人工知能)の発達があります。
AIはすでにかなり高度なことができるようになっており、そのいくつかは社会でも実際に使われています。
例えば、コールセンター業務などは、一部AIにとって代わられているところもあります。
他にも投資アドバイザーなどは最近AIを使ったサービスが増えています。
そして、技術の進歩とともにAIができる仕事の幅もどんどん広がっていくでしょう。
そうなると、単純な作業、思考を要さない作業というのは、どんどんAIに奪われていきます。
私たち人間がやるべき作業は、思考力を要する、高度な作業ばかりになります。
それは既存の知識を使うといった作業ではありません。
そうした作業ならコンピュータのほうがずっとうまくできます。
私たちが行うべきは、現状から未来を予測し、目指すべき方向を決めること。
そして、どうすればそれを実現できるのか、そのステップを考えることになります。
そうした高度な思考を行うためには、一を聞いて十を知る力が必要不可欠です。
そして、そのような思考ができない人間はどんどん淘汰されていくでしょう。
以上のことから、これからの時代を生きていくためには、高度な思考力、つまり一を聞いて十を知る力が必要です。
だからこそ、その能力を鍛えるために、今からできることを少しずつやっていきましょう。