若手の心をつかむ方法

若手の心をつかむのは、コストパフォーマンスがいい。
お金をつかったりしなくてもいいし、最初にしっかり投資しておけば、向こう40年間一生懸命働いてくれるからである。
たしかに最初の3年間くらいは出費の方が多いかもしれないが、それ以降しっかり働いてくれるのであれば、トータルでは得をする。
中堅やベテランの心をつかむよりもずっとコストパフォーマンスがいい。
では、どうすれば若手の心をつかむことができるのかを考えていこう。

まずは若手を一人の人間として認めていることを伝える

何よりも大事なのは、その若手を一人の個人として認めること。
会社側が、「相手を価値ある存在だと認めている」ということを理解してもらう。
自分のことを大事に思ってくれている人に対しては尽くしたくなるのが人間と言うものだろう。

もちろん、それだけでは不十分。
どんなに大事に扱ってくれたとしても、給料が低かったり、スキルアップが見込めなければ、そこに居付くことはないだろう。
しかし、価値を認めてもらえなければ、たとえ高給で将来性があったとしても、絶対に居付くことはない。
給料や将来性はもちろん大事なことだが、それよりも本人が大事に扱ってもらえていると思えることの方が大事。

若手と言うのは得てして自尊心が低い。
社会に出て間もない、自分に取り立ててスキルが無いためである。
また昨今の社会情勢や景気悪化から、生きていく事自体に不安があるという場合が多い。
なので、会社が自分を大切にしてくれている、認めてくれているというようなメッセージを伝えてあげるだけで、愛社精神は強くなる。
相手を認めてあげることで、信頼感が生まれる。
その信頼感が「ここだったら長くいても大丈夫そうだ」という考えにつながる。
そういった信頼感、安心感を与えてやることが何よりも重要なのである。

定期的に話し合いの場を設ける

相手の価値を認めているということを定期的に発信してやる必要がある。
ここで重要なのは、発信していると自分が思うことではなく、相手にそのメッセージがしっかりと伝わっていることである。
いくら相手のことを思っていても、それが伝わらなければ意味が無い。

若手の場合、価値を認めてやるにはお金よりも時間を使ってやった方がよい。
時間を使うというのは、若手のために会社の時間を割いてやるということである。
具体的に言えば、とにかく話を聞いてやり、不安を取り除くことである。
これならば、時間以外のコストはかからない。

会話の内容は何でもいい。
業務で困っていることでもいいし、全く関係ないプライベートのことでもいい。
重要なのは、とにかく話を聞いてやることと、その機会を定期的に持つことである。
そうすることで、会社は自分のために時間を使ってくれてるし、気にかけてもらっているという風に思うことができる。

先進的な企業では上司との1ON1という取り組みが行われている。
これは、定期的に上司と部下が話し合いの場を設けるというものである。
話す内容は、その現場によってさまざまだが、共通してるのは話し合いの場を定期的に設けるということである。

そして、重要なのが忙しいからと言ってスキップしたりしないことである。
そうすると「1ON1は重要度の低いもの=自分との会話は重要度の低いもの」というメッセージになってしまうためである。
こうした1ON1を取り入れていくのも、信頼関係を構築するのにはいいかもしれない。


ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法

話し合いで気をつけること

次は話し合いの時に気をつけるべきことを考えていく。
話し合いの目的は、信頼関係を築いたり、安心感を持ってもらうことである。
ただやるだけでは意味がない。

そうした関係を構築するためには、何を言ってもいいという安心感を持ってもらうことである。
そうしないと、これは言っていいい、あれは言ってはいけない、などと色々考えないといけないので、本音を引き出せなくなる。
そのような表層的な会話から信頼関係は生まれない。
思っていることをそのまま伝えられるような関係を作っていかないといけない。
そのためには、何を言ってもいいという安心感を持ってもらうことが大事。

具体的には、相手の意見をまずはとにかく聞いてあげよう
途中で意見を言いたくなったり、否定したくなったりするかもしれないが、そこは我慢する。
口を挟まずに、まずは話を全部聞いてあげることが大事。
何か言うたびに、いろいろ口を挟まれたら、だんだん意見を言うのがめんどくさくなってくる。
だったら、何か言われないようなあたりさわりのないことだけ言っておくか、という考えになってしまう。
そうなってしまっては信頼関係どころではない。
だから、まずは意見を全面的に受け入れてあげよう。

そして、その意見は素直であれば素直であるほどいい
たとえば、「正直働くのがめんどくさい」、「仕事がつまらない」などと言った意見を引き出せればこっちのものである。
会社人として働いていくうえで、上のような発言はマイナス要因にしかならない。
しかし、それを言ってくれたというのは、それだけ自分のことを信頼してくれているということである。
色々と言いたいことがあるかとは思うが、そこはグッとこらえて、まずは本音を話してくれたことを喜ぼう。

自分の意見をぶつけるのは、そうした信頼関係ができてからでいい。
むしろ最初から自分の意見を押し付けたところでいうことを聞いてはくれない。
人間とはそんなに単純なものではない。
聞いてくれたとしても面従腹背になってしまう。

上から目線をやめる

若手と接するときは上から目線をやめよう
具体的には、いうことを聞いてもらって当たり前、自分より下の人間だとみなす、などである。

若手と言うと、どうしても自分より下の人間と言う風な驕りを持ってしまう。
しかし、そうした驕りはコミュニケーションの端々に現れてくる。
そういったものは自分では気づかないが、相手は敏感に察知する。
人間は自分に対する嘲りには非常に敏感なものである。
そうなってしまっては信頼関係を気づくどころの話ではなくなってしまう。

それに派生して、無理に飲み会に誘うこともやめよう
無理に誘うというのは、その根底に若手は自分の言うことを聞いてくれる、聞くべき存在であるという驕りがある。
しかし、若手の立場からしたら、なぜ業務時間外にも会社のことで時間を使わないといけないのかという反発心が芽生える。
この根本原因は、若手の中で「飲み会=仕事の延長」という図式があるからである。
もし、信頼関係が出来上がったならば、「飲み会=個人的な付き合い」という図式に変わる。
個人的な付き合いならば、業務時間外の時間を使ってもいいか、となるのである。
飲み会に参加しないことに対して憤るのではなく、なぜ飲み会に参加しないのか、自分の誘いに応じてくれないのかをしっかり考えよう。

これは考えて見れば当然のことである。
最初からなんでも自分に付き合ってくれる人間などいるだろうか。
例え友だちであっても、最初からそうではなかったはずである。
公共の場で何回か会って、お互いの人となりを知る。
そうするうちにプライベートの付き合いに発展する。
それが進むにつれ、一緒にオールしたり、相手の家に行ったりするのである。
最初から親密な関係であったわけではない。

しかし、会社となるとどうもこの当たり前の観点が抜け落ちてしまう。
だから、いきなりプライベートの時間を削って飲み会につきあえ、と言うような話になってしまう。
冷静に考えれば、そんな誘い方で付き合ってくれるわけがない。
段階を踏んで信頼関係を作っていこう。

今はまだまだだが、ポテンシャルのある若手をターゲットにしよう

ここまで信頼関係の構築の重要性について説明してきた。
しかし、結局のところ一番大事なのは給料である。
特に優秀な若手はその傾向が強い。
なぜなら、そうした若手は能力が高く、職場には困らない。
より条件のいいところに容易にいくことができるので、あえてその会社に居付く必要はない。

こうした信頼関係の構築が効果的なのは、今は能力が低いが、伸びしろのある若手である。
今はまだ社会的に評価されていない状況で、その価値を認めてやる。
そうすることで、心理的に優秀な若手を囲い込むことができるのである。
いわば青田買いのようなものである。

信頼関係を築くのは、若手でも中堅でもベテランでも大事である。
ただし、その中でもとりわけてコストパフォーマンスがいいのが若手なのである。
中堅やベテランは誠意を給与額で示さないといけない。
また信頼関係を築いても、その後会社にいる年月は若手よりも当然少ない。
だったら、お金もかからずに、働いてくれる期間が長い若手に投資した方がいいということである。

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