b00k.jp ~積み上げ式読書ノート~
公開日:
最終更新日:2016/06/19

蔓延する生き辛さを解消するためには、逃げ場が必要。

不景気や少子高齢化など、今の日本には課題が山積みです。
どこか鬱屈としたムードが漂い、将来に希望が持てません。
この理由は様々あるとは思いますが、大きな要因の1つとして、今の日本に逃げ場がないことが考えられます。

逃げ場

今の日本では生き方の多様性が認められていません。
学校を卒業し、新卒で入社した企業で定年まで働く。
多少の例外はあれど、基本的にはこのルートを辿る以外の生き方は難しいです。

すべての人がこのように生きられるのであれば、何も問題はありません。
むしろ行く先が見えていた方が、安心できるでしょう。

ですが、現実はそうではありません。
企業に勤めることができる人間は非常に限られています。
特に現代のような不景気の時代は、その傾向が顕著です。

さらに悪いことに、もし企業に入れなかった場合、別のルートが存在しません。
新卒で正社員になれなかったら、以降正社員になるのは難しく、非正規や派遣などの低賃金の仕事をしなければなりません。
そして、そこから脱出するための手段はほとんど存在しません。

これは、運よく正社員になれた人間にも大きなプレッシャーを与えます。
それは、正社員から転落できないというプレッシャーです。
新卒で正社員になれなかった人間同様、正社員から転落してしまった人間もまた、そこから這い上がる手段がないのです。

正社員になっても、なれなくても常に不安がつきまとう。
レールから外れてはいけないというプレッシャーに常に苦しめられる。
そのような不安が、今の日本全体を覆う鬱屈感の正体なのではないでしょうか。

この状況を打開するためには、逃げ場が必要です。
レールから外れてしまった人間が、それでも生きていけるような場所が必要なのです。
実際そこを利用しなくても構いません。
ただ逃げ場がある、転落しても行く場所がある。
そう思えるだけで、生きることのプレッシャーは大分和らぐでしょう。

本来ならば、そのような機能は家庭が担うべきです。
しかし、今の家庭にそのような機能は期待できないでしょう。
企業に勤めることしか生きる術を知らない。
企業に勤めることができなかった人間、またはそこから転落してしまった人間を自己責任で片付ける。
身内が身内を責めるような狂った環境。
そんな人間が築いた家庭が、心の拠り所となるでしょうか?

日本全体が、失敗や生き方、人としての在り方など、様々なことに対して寛容になる必要があります。
そうでなければ、今ある問題は何一つ解決しないでしょう。
今日本に必要なのは、安心感なのです。

下流中年 一億総貧困化の行方 (SB新書)

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カテゴリー: 社会問題
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