マイペースでも、亀の歩みでも構わない。努力は続けることに意味がある。
あなたは、自分に無理をさせていないでしょうか。
それは、無理をすること、つらいことが素晴らしいというのは伝統的な価値観があるからかもしれません。
わたしたちは、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」などというように、辛い目に遭うことを神聖視してしまう傾向があります。
あなたも、「努力をすることは素晴らしいこと。怠けるのは悪いこと。」という考えが無意識のうちにあるのではないでしょうか?
この価値観は、自分を成長させるという点では優れたものです。
しかし、一歩間違うと自分に無理を課してしまいます。
そして、それによって挫折してしまうなどの危険性をはらんでいます。
目次
努力の神聖視は挫折を招く
努力を賛美しすぎることは、挫折を招きます。
たとえば、何か目標を立てたとします。
それに向かって毎日こなさなければいけない作業量を決めるでしょう。
勉強だったら、1日10問解くなどです。
そして、その計画を実行しようとします。
しかし、皆さんも経験があるかと思いますが、このような計画は大体うまくいきません。
経験のないことだから、どうしても見積もりが甘くなってしまい、自分の許容量以上のことをこなそうとしてしまうのです。
結局、その計画は頓挫してしまいます。
もし、その時に努力を神聖視していたらどうなるでしょうか?
おそらく、自分が失敗したのは、
「努力が足りないから」
「気合いが足りないから」
「自分に甘いから」
などと考えるのではないでしょうか?
自責の念にかられるわけですね。
その結果、次の日は計画の倍やろうなどと意気込むのです。
しかし、通常の量がこなせないのに倍の量などこなせるわけがありませんよね。
そういったことを繰り返すうちに、
「自分は努力ができない人間なんだ…。」
とだんだんと自信を失っていきます。
努力の神聖視は、自分に身の丈以上のものを課してしまいます。
それによって、努力が長続きしなくなるのです。
休み休みでも続けることが大事
努力は長い期間を要する作業です。
気合いや自分を叱咤することで乗りきれるような類いのものではないのです。
では、どうすればいいのか?
そのためには、マイペースにこなすことが大事です。
たとえば、計画時点で1日に3つの作業を決めたとしましょう。
ですが、これを厳格に守る必要などないのです。
1日2でもいいし、1でもいい。
なんなら何もしない日があっても一向に問題ないのです。
なぜなら、それが、その時点のあなたの限界だからです。
身の丈以上のことをやろうとしても続きません。
しかし、「それではいつまでたっても目標にたどり着かないのでは?」と思う方もいるでしょう。
ですが、その考え方には、ある重要な視点が抜け落ちています。
それは、人間は成長するということです。
無理せず続けていれば、人は成長する
今は、計画通りに作業をこなすのは難しいかもしれません。
毎日作業を行うのは大変かもしれません。
しかし、私たちは、成長するのです。
続けていれば、だんだんと作業効率は上がり、アウトプットの質も向上していきます。
気が付けば、当初の計画した作業量など簡単にこなせるようになるのです
ですから、最初から無理をして辛い思いをする必要はないのです。
マイペースでも続けることが大事です。
何か目標に向かうときに、無理をする必要などないのです。
むしろ、無理などしてはいけません。
それによって、本当なら実現できたことを諦めることになるかもしれません。
たとえば、自分に無理をさせすぎて、その努力が1か月しか続かなかったとしましょう。
毎日毎日、規定の練習量をこなすことが重圧になり、だんだんと嫌になってきた。
そして、1か月ほどでやめてしまいました。
もし、自分に無理をかけずに続けていたらどうでしょうか。
やる気のある時はやり、やる気のない時はまったくやらない。
1日に決まった量を設けず、自分のペースで続ける。
たしかに、1日1日の成長速度はゆっくりかもしれません。
しかし、この努力が1年続けばどうでしょうか。
無理して1か月しか続かなかった自分よりも格段に成長しているはずです。
ゆっくりでも自分のペースで続けていくことが、何よりも大事なのです。
続けていれば、嫌でも上達していくのですから、不安に思う必要もないのです。
まずは、続けているという事実それ自体を褒めてあげましょう。
無理せず努力を続ける方法
努力のコツは無理せず長く続けることです。
がむしゃらに頑張ればいいというものではないのです。
では、どうしたら無理せず努力を続けていくことができるのでしょうか。
その方法を見ていきます。
作業量を少なめにする
無理せず続けるためには、1日の作業量を減らすことが大事です。
たとえば、1日1冊本を読もうと決めたとします。
しかし、いきなり1日1冊本を読むのはつらいはずです。
たしかに、2,3日は続くかもしれません。
ですが、それをずっと続けるのはしんどいし、長続きはしないでしょう。
努力は継続することが何よりも大事です。
途中でやめてしまうくらいなら、少しずつ無理のない量を続けていくことが大事です。
では、どうすれば作業量を少なくすることができるか。
そのためには、3つのポイントがあります。
・計画段階で張り切りすぎない
・計画を守る必要はない
・やりたい分だけやる
計画段階で張り切りすぎない
まず、計画段階で張り切らないことが大事です。
計画を立てるときというのは、どうも気持ちが高ぶっています。
自分の未来を想像して、やる気に満ち溢れているのですね。
それはそれで、いいことなのですが、同時に無理な計画を立ててしまうという危険性もあります。
やる気が先行しすぎてしまうのです。
ですから、計画時にあまり張り切りすぎないことが大事です。
計画を守る必要はない
計画を立てるときに、冷静になって少なめの量を見積もる。
しかし、それでも規定の量をこなせない時はあります。
そんな時は、無理して計画を守る必要はありません。
計画は計画に過ぎません。
守ることは大事ですが、それを守ったからと言ってどうなるわけでもありません。
むしろ、計画を守ることに固執しすぎて無理をする方が問題です。
計画を守れないのは、あなたが悪いわけではありません。
そもそも、その計画が無理だったのです。
ですから、無理な時はきっぱりとその計画を諦めることも大事です。
やりたい分だけやる
やりたい分だけやる。
この考えも努力を続けていく上では大事なことです。
努力の妨げになるのは、無理をすることです。
では、無理とは何か?
それは、やりたくない気持ちを押さえつけて、それをこなすことです。
これは、何回かだったら可能かもしれません。
しかし、長期間頑張ることはできないでしょう。
無理をしないためには、自分のやる気に素直に従うことが大事です。
やりたくないときはやらない。
逆にやりたいときは、とことんやる。
結局、やる気のない時にやってもあまり成果は出ません。
無理して挫折するよりも、やりたい時にやりたいだけやるのがいいのです。
1日の作業量を決めない。「やる」ことだけ目標にする。
1日の作業量を決めないことも大事です。
1日の作業量を決めてしまうと、それに縛られてしまいます。
「しんどいけれど、ここまでやらないと…」という思いに駆られるのです。
しんどいから途中でやめた場合も「今日の目標を達成できなかった…」という後ろ向きな気持ちになってしまいます。
とにかくいいことがないのです。
しっかり計画を立てて、それを完璧にこなせる人なら、1日の作業量を定めるのはいいことでしょう。
しかし、そんなことができる人間は稀です。
それに、やり始めのころは、さおの作業に取り掛かるのに精いっぱいなので、そこまで気を回すのは難しいでしょう。
しかし、「1日の作業量を決めないと、全然やらないままになってしまうのでは?」と思う方もいるでしょう。
そうした方は、とりあえず「やる」ことを目標にするといいと思います。
5分でも10分でもいいから「やる」ことを目標にするのです。
努力では、とにかく「やる」ことが大事です。
短い時間でもやっていれば、実力は伸びていきます。
また期間が空くと、衰えることもありますが、毎日やっていれば、その心配もありません。
それに、一回やり始めればだんだんと気持ちも乗っていきます。
重いものを動かすのは大きな力が必要ですよね。
しかし、一回動かしてしまえば、それを動かし続けるのは簡単です。
人間のやる気もそれと同じことなのです。
まずは、とりあえず「やる」ことを目標にしましょう。
そうすれば、
・確実に力が伸びていく
・期間が開いて下手になることがなくなる
・やっているうちにやる気が出てくる
というメリットがあるのです。
■参考:めんどくさいを克服する超簡単な方法。「とりあえず5分だけやる」
いっさいやらない日を作る
努力を長く続けるためには、なんといってもモチベーションが必要です。
モチベーションにはいろいろな種類がありますが、一番強力なのが「不安」です。
人間は、不安に対する感度が人一倍強いです。
「確実に50万円もらえる」のと「50%の確率で100万円をもらえるが、50%の確率で50万円失う」だったら、前者を選ぶ人が多いかと思います。
それは、「失いたくない」という不安が強いからです。
期待値で見れば、どちらも同じです。
しかし、前者を選んでしまう。
それは人間が、「不安」に対して非常に敏感な生き物だからです。
話がそれましたが、モチベーションを維持するためには、この「不安」という強力な感情を使うのがいいです。
では、具体的にどうすれば恐怖の感情を使うことができるのでしょうか。
そのための方法が、いっさいやらない日を設けるというものです。
やらない週、やらない月でも構いません。
とにかく、やらない期間を作るのが大事なのです。
やらない期間は不安を生み出します。
「休んでいる場合じゃないのでは…?」
「こんなことをしているうちにどんどん下手になっているのでは…?」
「今頑張れば、もっと早く目標を達成できるのでは…?」
このような不安を生み出すのです。
不安は、それから逃れたいという強いモチベーションを生み出します。
つまり、「早く作業に取り掛からなければ」という思いです。
こうした思いが湧いて来れば、こちらのものです。
その勢いのまま、努力を続ければいいのです。
やらない期間を作るというのは、荒療治ですが、いい起爆剤になります。
そのことをいっさい考えない時間を作る
いっさいやらない期間を作ることと似ていますが、「そのことについて一切考えない期間をつくる」ことも大事です。
努力が波に乗ってくると、ずっとそのことを考えてしまいます。
それ自体は非常にいいことです。
努力に対する意識が非常に高いということですからね。
それに常に意識がいっていれば、自然とその活動に取り組むことも多くなるでしょう。
暇なときにそのことが頭に浮かべば、思わずそれをしてしまいますよね。
しかし、そのことばかりを考えるのはいいことばかりではありません。
ずっと同じことを考えていると気が滅入ってくるのです。
また、努力に不安があるとこれは最悪の結果を招きます。
たとえば、一生懸命努力をしているのだけれども、いまいち成果が出てこない。
こんな時にそのことをずっと考えていたらどうなるでしょうか。
「ほんとうにこのまま続けていいのだろうか…」
「自分にはセンスがないのではないだろうか…」
このようなネガティブな考えが浮かんできます。
さらに悪いことに、この手のネガティブなことというのは、考えてもキリがありません。
このまま続けて本当にいいのかは、続けてみないとわかりません。
自分にセンスがないかどうかも、やってみないとわかりません。
急に花開くときが来るかもしれませんよね。
とにかく、この手の迷いというのは、やってみることでしか解消できないのです。
考えても仕方ありません。
同じ疑問が頭をぐるぐるするだけです。
やるべきことを意識するのは大事なことです。
しかし、それについて考えすぎて気が滅入ってしまっては本末転倒です。
ですから、そうならないために、意識的にそのことを考えない期間をつくることが大事なのです。
そのために、息抜きできるようなものを作りましょう。
漫画でもスポーツでもなんでもいいです。
自分が無心で取り組めるものを作りましょう。
そして、それをする時は努力のことは一切考えないようにしましょう。
それを続けることで、それをやっている時は努力のことを考えないで済むようになります。