決められないのは、決断の仕方を知らないから。後悔の無い決断をするために考えるべきこと。
「決断力がない」
あなたはこのような悩みを抱えてはいないでしょうか。
一歩を踏み出したい気持ちがある一方で、それが失敗した時のことを考えるとなかなか踏み出せない…
このようなことは、よくありますね。
もし、「失敗を恐れない決断力があれば…」と思うこともあるでしょう。
しかし、決断力があれば、本当に納得のいく決断ができるのでしょうか?
それで、失敗してなにもかも失ってしまったらどうでしょうか?
その決断をよかったと肯定できるでしょうか?
このように見ると、「決断力=失敗を恐れないこと」とは言い難いです。
では、納得のいく決断をするために必要な決断力とは、一体どのようなものなのでしょうか?
今回は、決断力についてみていきます。
目次
決断力とは「後から見て納得できる判断をする能力」のこと
決断力というと、あなたはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
「失敗を恐れないこと」
「判断を迷わないこと」
このようなイメージがあるのではないでしょうか。
たしかに、身の回りの判断力のある人を思い浮かべると、このように見えるかもしれません。
しかし、このような態度は決断の過程にすぎません。
結果的にいい判断ができていることが重要なのであって、失敗を恐れなかったり、迷いがなかったりすることは重要ではないのです。
このように考えると、判断力とは「後から見て納得できる判断をできる能力」ということができます。
納得いく決断のために、4つの要素を考慮する
では、どうすれば納得のいく判断を下すことができるのでしょうか?
その時に重要なのが、以下の4つの要素を考慮することです。
①決断した場合のメリット
②決断した場合のデメリット
③現在のメリット
④現在のデメリット
たとえば、会社を辞めて起業するかどうかという問題があったとします。
この時、それぞれ①~④は以下のようになります。
①収入が一気に上がる。
②収入が一気に減る。もしくはなくなる。
③安定した収入が得られる。
④収入は大きく増えない。
このように考えると、決断によって得るもの、失うものを整理することができます。
人間というのは、何かを得る時の喜びよりも、何かを失う時の痛みの方が大きいです。
ですから、決断をする時は何かを失わないようにする方に傾いてしまいます。
こうなると、納得のいく決断をするのは難しいです。
しかし、決断のメリット、デメリットを整理し、書き出すことで客観視できます。
それにより、感情に流されることなく、冷静に判断を下すことができるのです。
この結果をもとに、なるべくリターンが大きく、リスクが小さくなるような決断をします。
たとえば上の例だったら、会社に勤めながら、事業を立ち上げるというのが考えられます。
そうすれば、事業が成功したら会社を辞めてそちらに注力すればいいですし、失敗しても安定した収入は保障されます。
このように、それぞれのメリット、デメリットをしっかり考慮することが、納得いく決断を下すためのコツなのです。
考えると悩むは違う
決断をする際は、メリット・デメリットを洗い出し、よく考えることが必要だということがわかりました。
しかし、ここで注意してほしいのは、時間をかければいい判断ができるというわけではないということです。
いくら考えても一向に進展しないということもあります。
実はそれは、考えているのではなく、悩んでいるだけなのです。
考えることと悩むことは違います。
悩むとは、考えても答えが出ないことについて時間をかけることです。
何時間悩んでも、答えは出ませんし、決断の質も向上しません。
では、具体的にどのような状態を「悩む」というのでしょうか。
たとえば、転職を例に考えてみましょう。
ある会社から内定をもらいましたが、本当にその会社でいいのか迷っています。
エージェントやネットの評判、その会社に勤めている人からも話を聞きましたが、果たして本当にその企業に行くべきか踏ん切りがつかないのです。
ですが、これ以上考えてもおそらく進展はしないでしょう。
これ以上情報を集めるのは難しいです。
もう後は実際に勤めてみるしかありません。
そうしないと、現実がどのようなものかわからないからです。
考えてもこれ以上わからないこと。
それを考えて堂々めぐりしている状態が「悩む」と言えるでしょう。
これ以上悩んでも、得られるものはありません。
ただ時間が過ぎていくだけです。
考えてもしかたがないことは、さっさと考えないようにすることも大事です。
そうしているうちに、機会を逃すかもしれませんし、なにより悩んでいる時間がもったいないです。
いい決断を下すには、よく考えることが大事ですが、同時に悩まないことも重要なのです。
そのためにも、考える前に、その問題は考えて答えが出るもの何かどうかを念頭に置くことが大事です。
「わからないものはわからない」と割り切る
納得いく決断を下すためには、考えることが重要です。
しかし、同時に考えすぎないことも大事です。
考えても埒が明かないことを考えても仕方ないですからね。
考えすぎないためには、考えても仕方ないことは割り切ってしまうことが大事です。
「わからないものはわからない」と開き直ることですね。
決断をする際には、なるべくリスクは減らしたい。
だから、全ての要素を明らかにしたいという気持ちはわかります。
しかし、現実問題すべての要素を明らかにすることはできません。
常に不確定要素を含んだうえで決断していかないといけないのです。
大事なのは、全ての要素を明らかにするのではなく、何が不確定なのかを把握しておくことです。
そして、その不確定要素がどのような問題を引き起こす可能性があるかも整理しておく必要があります。
そうすれば、
「この決断は、〇〇というリスクがあるな。だから安全策として△△という保険をかけておこう」
という風に決断することができるのです。
こうした決断を行えば、仮に失敗したとしてもリカバリーが利きます。
「どうして自分はあんな無謀な決断をしてしまったんだ…」と後悔することがなくなるのです。
では、どうすればそう言った悩みをなくすことができるのでしょうか。
その詳しい方法を見てみましょう。
考えればわかるという思い込みを捨てる
悩みを捨てる方法を見る前に、そもそもなぜわたしたちは悩んでしまうのかを考えてみましょう。
わたしたちが悩んでしまうのは、「考えればわかる」という思い込みがあるからです。
だから、わからないことを延々と悩んでしまうのです。
しかし、少し考えればわかるかと思いますが、全てのことを知ることはできません。
その会社の雰囲気は、実際に勤めてみないとわかりません。
その決断をして、本当に今よりもいい状況になるかはやってみないとわかりません。
その仕事が楽しいかどうかは、やってみないとわかりません。
このように世の中には、考えてもわからないこと、やってみないとわからないことがたくさんあります。
ですから、まずは「考えればわかる」という思い込みをなくすことが大事です。
その思い込みがなくなれば、無意味に悩み続けることも少なくなります。
結局、ベストを尽くすしかない
悩みを断ち切るには、それを考えてどうなるのかを考えることも大事です。
たとえば、新しい職場に行って仕事がうまくできるかどうかを考えます。
しかし、これは結局行ってからの自分の頑張りにかかっているのではないでしょうか。
どんなに得意な仕事や分野であっても、やはり環境が変わればやり方も変わってきます。
依然と同じように成果を出すということは、最初のうちは難しいでしょう。
そうした中で成果を出すには、結局その時その時でベストを尽くすしかないのです。
悩みには、こういった類のものが多いです。
新しい環境になじめるか。
難しい仕事を任されたがうまくできるか。
上手く人間関係を構築できるか。
前もって準備することはできますが、所詮は準備。
その場その場で想定しない問題が発生するものです。
そうなれば、その時その時で頭を使ってベストを尽くすしかありませんよね。
大体のことは、ある程度考えたら最後は「ベストをすくしかない」のです。
そう考えれば、不必要に悩み続ける必要はなくなります。
悩み始めたら、「ベストを尽くすしかない」と考えてみるのがいいです。
不確定要素が引き起こす最悪の事態をシミュレーションしておく
私たちが悩んでしまうのは、わからないことがあるからです。
そのわからないことは、この先何を引き起こすかわからない。
そうした得体の知れなさが恐怖を生み出し、不安を生み出すのです。
こうした恐怖を断ち切るには、シミュレーションすることが有効です。
その不確定要素が最悪の方向に転んだ時のことを考えるのです。
たとえば、
・転職して、その会社がびっくりするほどブラック企業だった。
・今の会社に居続けたが、会社が倒産してしまった。
・フリーに転職したが、全く仕事がなく、来年の税金も払えない。
などといった感じです。
このように最悪の事態がわかってしまえば、少なくとも「わからないから怖い」という事態は回避できます。
「最悪の状態になってもこの程度か」と割り切ることができ、不必要に悩むこともなくなるのです。
今回のまとめ
・決断力とは、「失敗を恐れないこと」、「判断を迷わないこと」ではない。
・決断の際は、決断した時としなかったときのメリット、デメリットを考える。
・考えてもわからないことに時間をかけない。
決断力の磨き方 人に決められる人生でいいのか 仕事の教科書BOOKS