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最終更新日:2016/06/19

歴史から学ぶ ~原発事故の歴史~

2011年3月11日に福島第一原発事故が発生しました。
「よくはわからないが、大変なことが起こっている」
これが、当時の率直な感想ではないでしょうか?

ニュースや新聞で大きく取り上げられてはいるが、具体的に何が問題なのかがわからない
放射性物質が漏れている可能性があるのはわかったが、何なのかはよくわからない
人体に有害なのはわかったが、実際どうなるのかはわからない
このように、「大変なのはわかるが、どうしたらいいかわからない」そんな不安と混乱を覚えたのではないでしょうか

このように戸惑ってしまった原因は、それについての知識が無いからです。
知識がないから、何が問題なのかわからない。
この先どうなるのか、どうすればいいのかがわからない。
このようになってしまうのです。

原発事故はまだ終わっていません。
また、原発の是非を私たちは問い続けないといけません。
そのためには、まず原発について知ることが必要です。

今回は、原発、原子力爆弾について考えてみます。

原発事故の歴史、放射線

原発の歴史

原発を知るために、まずは原発の歴史を見ていきましょう。
ところどころで、難しい用語や理解しにくい部分があるので、記事下部に補足情報をまとめてあります。
リンクを押すと、該当箇所にジャンプします。
適宜、活用してください。

それでは、原発の歴史を見ていきましょう。

水爆実験の被害者、第五福竜丸

1954年に発生した、水爆実験による事故です。
第五福竜丸とは漁船の名前で、当時ビキニ環礁で漁を行っていました。
その時に、米国の水爆実験による死の灰を浴びてしまったのです。

これにより、無線長であった久保山愛吉さんが死亡しました。
「原水爆の被害者は、わたしを最後にしてほしい」という言葉を最後に残しています。

原子力船「むつ」の漂流

1974年に発生した、日本で初の原子炉事故です。
原子力潜水艦というのは、原子炉の仕組みを利用して進む潜水艦のことです。
この原子力潜水艦の実験が行われていた時に、放射線漏れが発生したのです。

当時、一部のメディアがこれを放射能漏れと誤報したことにより、大きな混乱が生じました。
これ以降、日本では原子力潜水艦の製造は行われていません。

スリーマイル島原発事故

1974年、ペンシルベニア州スリーマイル島にて発生した原発事故です。
放射性物質が漏れ、地域住民の避難も起こりました。
直接の原因は、装置の故障でした。
それにオペレーションミスが重なったことにより、大惨事の一歩手前まで来てしまいました。
コストと安全性の是非が問われた事故でした。

チェルノブイリ

1986年、ウクライナ(旧ソ連)のチェルノブイリにて発生した、史上最悪の原発事故です。
原発事故というと、真っ先にこれが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

この事故は、実験中に発生しました。
発電所が停電した時に、まだ惰性で回っているタービンから必要な電力を取り出すことができるかというものです。

しかし、この実験中に操作ミスが発生し、水蒸気爆発が起こってしまいます。
これにより、放射性物質が周辺に飛び散ってしまいました。

この事故により、多数の被爆者、死者を出しました。
当時ソ連は情報統制が敷かれており、周辺住民の避難が遅れたことも要因の一つです。
また、除染作業員でも多数の死者を出しています。
放射能の危険性を周知していなかったこと、そもそも理解していなかったことが原因です。

事故後の現在でも、半径30Km以内は立ち入り禁止です。
また、当時被曝したと思われる人たちが甲状腺がんを発症しています。
汚染された牧草を食べた牛の牛乳を飲み続けたことが原因ではないかと言われています。
汚染食品の規制がきちんとされていなかったのです。

30年たった今も、なおその脅威にさらされる。
原発事故の恐ろしさを物語る事件です。

東海村JCO臨界事故

1999年、茨城県東海村の核燃料加工会社JCOの茨城事業所で発生した、臨界事故です。
日本の原子力開発史上初めての犠牲者を出しました。

原子力発電に使う燃料を製造している最中に、マニュアルを無視した操作を行ったことによるものでした。
スピードを高めるために、そのようなことが行われたのです。
ここでも、コストダウンと安全性が問題となりました。

福島第一原子力発電所事故

2011年3月11日に起こった、日本史上最悪の原発事故です。
東日本大震災による地震と津波により、装置が故障。
それによって、炉心融解が起こり、原子炉が水素爆発を起こしたものです。

福島第一原発で使われていた原発は、GE(ゼネラル・エレクトリック)社製のものでした。
導入当時、日本に原子力発電の技術はなく、海外に頼るしかなかったのです。
しかし、海外の原発は地震や津波を想定していません。
装置が、それらの災害に耐えられるようにできていなかったのです。
これが、「想定外」の事態を引き起こし、恐ろしい原発事故を引き起こしてしまったのです。

これらの事故から学べる事

さて、さまざまな原発事故を見てきました。
原発事故は一度起きると、大事故につながる可能性が高く、その被害は長期にわたります
ですから、原発事故は絶対に起こしてはいけません。

では、なぜ原発事故が起こってしまうのでしょうか?
過去の事例を見ると、大きな原因は以下の3つになるのではないでしょうか。

・誤操作
・装置の老朽化、故障
・想像性の欠如

誤操作

チェルノブイリの事故のように、原発事故は誤操作から発生しています。
人間が操作している以上、誤操作をしてしまうのは、仕方ないことです。
どれだけ注意しても間違えてしまうことはあります。
しかし、だからと言って、それで事故が起こってしまうのは困ります。
なので、誤操作を起こしてしまっても、大丈夫な作りにしておくべきです。
原発の安全性うんぬんの前に、そもそも個人の操作ミスで原発事故が発生してしまうような構造に欠陥があります。

装置の老朽化

スリーマイル島の原発事故は、装置の老朽化が原因でした。
老朽化によって、放射能が漏れる危険性があります。
(たとえば、冷却水の管にひびが入るなど)
また、装置が故障すると、本来備わっている安全装置が正常に起動しない可能性があります。
それによって、大事故につながる可能性も十分にあります。

これは、コストと安全性の問題になるのかもしれません。
しかし、一度大事故が起きてしまえば、その損害は計り知れません。
事実、チェルノブイリでは30年たった今も立ち入り禁止です。
もっと長いスパンで見て、コストと安全性のバランスをとるべきでないでしょうか。

想像性の欠如

福島第一原発事故は、想定外の大災害によってもたらされたものだという主張があります。
しかし、本当にそうなのでしょうか?

日本は地震大国です。
歴史的にも、大地震が起きています。
また、海のそばであれば当然津波が来る可能性はあります。
大災害が定期的に発生することは、わかっていたことです。

そして、原発事故が起これば、莫大な損害が出ることは、過去の事例から見てもわかっていたことです。
であれば、普通は最悪の事態を想定するものではないでしょうか?
あれだけ危険なものを扱うなれば、もっと慎重になるべきです。

 

大きく3つの原因をあげました。
いずれにしても、言えるのは過去の事例や海外の事例からもっと学ぶべきということです。
事故が起こった原因は何なのか?
事故が起こるとどんな被害が出るのか?
これらは、過去の事例を見ればわかったことです。

原発事故に限った話ではないですが、過去の事例を知るだけで、同じ過ちを回避できます
まずは、知ることが大事なのではないでしょうか?

今回のまとめ

原発事故が起こる原因は、
・誤操作
・装置の老朽化、故障
・想像性の欠如
これらは、過去の事例を学ぶことで回避できる。

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)

補足:原発の基礎知識

記事中では説明できなかった、用語などの解説です。
これらを知ることで、より原発問題への理解が深まります。

放射線、放射能、放射性物質

何が違うのかわからない方も多いかと思います。
似たような語ですが、それぞれ違うものを表しています。

・放射性物質…放射線を出すもの。
・放射能…放射線を出す能力。
・放射線…光や電磁波の一種。大量に浴びると有害。

参考
http://www.rerf.jp/general/whatis/index.html

原発の仕組み

原発の用語は、なじみがなくてわかりにくいです。
一つ一つの単語を個別に覚えていくと、何が何だかわからなくなってきます。
しかし、原発の構造を知ると、用語と用語の関係が見えてきて、理解が早まります。

原発は、ウランの核分裂を起こし、熱エネルギーを発生させます。
その熱エネルギーを使って、水を沸騰、水蒸気を発生させます。
その水蒸気をタービンにぶつけて、タービンが回ることによって、発電されます。

原発には大きく分けて2種類が存在します。
「加圧水型軽水炉(PWR)」「沸騰水型軽水炉(BWR)」です。
どちらも、水蒸気を発生させてタービンを回すのは同じですが、その過程が微妙に異なります。

加圧水型軽水炉は、核分裂による熱エネルギーを使って、直接水蒸気を発生させます。
このタイプは、東京電力などで使用されています。

一方、沸騰水型軽水の方は、核分裂による熱エネルギーで、高温の熱湯を作り出します。
この熱湯は、圧力を高めて沸点を上げているので、100℃以上の高温になります。
そして、熱湯の熱を利用し、水蒸気を発生させます。
このタイプは、関西電力などで使用されています。

加圧水型軽水炉は、直接水蒸気を発生させるため、効率がいいです。
しかし、事故が起こった際に汚染された水が漏れやすいため、放射能漏れにつながる可能性が高いです。

沸騰水型軽水は、熱湯を介して水蒸気を発生させるため、効率は下がります。
しかし、タービン室が汚されない、放射能漏れが加圧水型軽水炉に比べ起こりにくい、などのメリットがあります。

参考
http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/sikumi.html
http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/atomic/mechanism/mechanism_and_kind/

核分裂

原子力発電の要となるのが、核分裂です。

核分裂とは、原子核に中性子をぶつけることで、原子核を分裂させることです。
分裂の際に、膨大な熱エネルギーを発生します。

原子核は、分裂の際に中性子を放出します。
その中性子が別の原子を分裂させます。
この反応を連鎖的に起こして、原子力発電を行っています。
また、連鎖的に核分裂が起こっていることを、臨界といいます。

参考
http://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/nuclear/kakubunretsu/sw_index_02/index.html

原子の構造

全ての物質は、原子でできています。
原子とは、原子核と電子からなります。

参考
http://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/nuclear/kakubunretsu/sw_index_01/index.html

燃料棒

ウランを固めたもの。
核分裂を発生させ、熱エネルギーを発生させる。
原子力発電の燃料のようなもの。

炉心融解

燃料棒が過熱により、溶け出してしまうこと。
本来ならば、核分裂のスピードはコントロールされており、溶けてしまうほど高温になることはない。
しかし、事故や故障などでコントロール不能になると、炉心融解が起こる可能性がある。

臨界

核分裂が連鎖的に発生している状態のこと。

原発事故が起こった場所

世界各地の主な原発事故が起こった場所です。

原発事故

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