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公開日:
最終更新日:2016/10/22

抽象化思考の注意点!

一を聞いて十を知ることができる。
要領よく行動することができる。
無駄がない行動、考え方ができる。

このように、抽象思考には様々なメリットがあります。
しかし、どんなものでも欠点は存在します。
それは、抽象思考も同じこと。

抽象思考をより効果的に使うためには、メリットと同時にデメリットも知っておく必要があります
これを知っておくことで、どういう場合に抽象思考を使い、どういう時は使わない方がいいのかが判断できます。
抽象思考を、「ここぞ!」というポイントで使うことで、その効果をより発揮することができます。

そこで、今回は抽象化思考の問題点についてみていきます。

抽象化思考の注意点

抽象化思考の問題点

頭がいい人が行っている抽象思考。
しかし、この抽象思考にも問題点があります。
どのような問題点があるのか、見ていきましょう。

本末転倒に陥る可能性がある

抽象化思考は、本末転倒を招く危険性があります。

たとえば、文法というものがあります。
これは、個々の文章から特徴やパターンを抽出し、整理したものです。
たとえば、主語に対応した述語がないといけない、「の」や「が」などの助詞の使い方などです。

しかし、一度文法が出来上がると、これが逆転します。
個々の文章を文法の方に合わせなくてはいけなくなるのです。
文法にあっていないと、その文章は間違っているとされてしまうのです。

本来は、個々の文章が先にあって、それの特徴やパターンをまとめたものが文法のはずでした。
ところが、一度文法が出来上がってしまうと、今度は個々の文章がそれに引きずられるのです。

文法ならばいいかもしれませんが、これが現実の世界でも起こることがあります。
たとえば、ルールの形骸化です。
個々の状況でどうすればいいのかを整理したものがルールです。
しかし、一度ルールが出来上がると今度はそれを守ることが目的になってしまいます。
これが続くと、「なぜ守らないといけないのかわからないルールがたくさんある」という状況になります。

本来は、個々の状況での対応が先にあって、それを整理したものがルールでした。
しかし、ルールが出来上がると、個々の状況での行動がそれに引っ張られてしまうのです。
これが、抽象化が本末転倒を招く原因です。

これを防ぐには、ルールなどの抽象概念の意図や理由を考えることが必要です。
「なぜ、それが必要なのか?」
「どうして、そのような結論に至ったのか?」
抽象化とは、いわば重要でない枝葉を切りおとしたものです。
それ故に、表面だけを見ると、その理由が見えないのです。
その裏にある、意図や原因を考えることで、本末転倒を防ぐことができます。

偏見や思い込みにとらわれてしまう

行き過ぎた抽象化は、偏見や思い込みを生み出します

たとえば、「遅くまで仕事をしていると太りやすい」という考えがあるとします。
はたしてこれは、本当に正しいのでしょうか?
太りやすいのは、遅くに帰ってきてからご飯を食べているからかもしれません。
長時間の仕事でストレスがたまり、過食になっているのかもしれません。
もし、そうだとしたら遅くまで仕事をしていることと太りやすいこととは直接関係ないわけですよね。

「黒猫を見ると良くないことが起こる」
「靴ひもが切れると不吉」
このような迷信も、行き過ぎた抽象化によるものです。

このように、行き過ぎた抽象化は、物事の因果関係を取り違える原因になってしまいます。
それによって、判断を誤ったりしてしまいます。

「本当に因果関係が認められるか?」
「他に影響のある要因がないか?」
こういったことを、常に疑うことで、偏見や思い込みにとらわれる可能性が減ります。

わかりにくい、現実的でない

抽象化は、その性質上わかりにくいです。

たとえば、人類の幸福のためにとか、よりよい社会を作るとか言われても、イメージが湧きませんよね。
人にわかってもらうためには、そのために何をするのかという、具体的なビジョンが必要なのです。
たとえば、出生率を上げるために給付金を出すとか、雇用の改善を図るために制度を変えるとか。
こういった具体的な行動が示されて、はじめて理解されるのです。

目標を定める時もそうです。
「幸せな人生を送る」というのは、素晴らしい目標化もしれませんが、具体的に何をしたらいいのかが見えてきません。
勉強を頑張るとか、一生懸命働くとかいった具体的な行動を決める必要があります。
具体的な行動を定めることによって、はじめて目標に向かって歩き出すことができるのです。

抽象化だけでは、ただの理想論に終わってしまいます。
理想論で終わらせないためには、具体的にどうするかといった地に足のついた考えが必要になるのです。

具体と抽象の使い分けが重要

ここまで抽象化の問題点を見てきました。
一度おさらいしておきましょう。

・本末転倒に陥る可能性がある
・偏見や思い込みにとらわれてしまう
・わかりにくい、現実的でない

では、これらの原因は何でしょうか?
それは、個々の事象を軽視することです。

個々の事象を軽視し、ルールを絶対としてしまうことで、本末転倒が起こってしまいます。
個々の事象を軽視し、表面の因果関係だけで決めつけてしまうことで、偏見や思い込みにとらわれてしまいます。
個々の事象を軽視し、具体的な行動を決めないことで、わかりにくいものとなります。
このように、具体を軽視し、抽象に傾きすぎることにより、これらの問題は起こっています。

具体的な事象がまず存在し、そこから抽象化が始まります
抽象ありきで考えてしまうと、このような問題を起こしてしまうのです。
なので、抽象化をうまく使いこなすには、そのバランスが重要ということになります。
抽象に偏ることなく、かといって具体に偏ることの無いように気をつけていきたいものです。

今回のまとめ

抽象化思考の問題点
・本末転倒に陥る可能性がある
・偏見や思い込みにとらわれてしまう
・わかりにくい、現実的でない
その根本原因は、「具体を軽視していること」である。
だから、具体と抽象の使い分けが重要。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

カテゴリー: 思考法
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