一を聞いて十を知る!頭がいい人の抽象思考
「一を聞いて十を知る人になりたい」
あなたも一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
一を聞いて十を知ることができれば、さまざまなメリットがあります。
読んだ内容や聞いた話をすぐに理解することができます。
また、一部を聞いただけで全体をぱっと理解することができるので、仕事が速くなります。
逆に、そういった思考ができないと、何をやるにも時間がかかってしまいます。
そうなると周りにも迷惑がかかるし、自分の時間もどんどん無くなっていきます。
そんなのは嫌ですよね。
ですから、人生を豊かに生きていきたいのであれば、一を聞いて十を知る人になるべきなのです。
では、一体どうすれば一を聞いて十を知るような賢い人になることができるのでしょうか。
今回はそれについてみていきます。
目次
一を聞いて十を知るとは何か?
一を聞いて十を知る方法を見る前に、まずは一を聞いて十を知るとは何なのかを考えていきましょう。
一を聞いて十を知るとは、少ない情報で全体像を把握することができる人のことを言います。
少し説明しただけで、後の説明を聞かなくても全てわかってしまう。
作業の手順を事細かに説明しなくても、すぐに理解できる。
などなど。
そうした少しの情報で、全てを理解できる人のことを、一を聞いて十を知る人と言うのです。
こうしたことができるとどんなメリットがあるでしょうか。
まず目につくメリットは、話の理解が早くなることですよね。
たとえば、賢い人は仕事の依頼で以下のようなやり取りをします。
上司:「この作業の一覧を出してほしいんだけど。」
あなた:「わかりました。進捗状況を見るためのリストでしょうか。」
上司:「そう。よくわかったね」
あなた:「ということは今回のプロジェクトに関係するものですから、○○と××ですかね?△△は不要ですかね?」
上司:「うん、。そうだね。ただし△△のここの部分は少し関係してくるから、その辺りは一覧化しておいてほしいな。」
あなた:「なるほど。わかりました。」
このように、作業の内容から目的を察して、その詳細を想像するところまで瞬時にできているのです。
こうなれば、話も早いし、上司的にも仕事をどんどん任せたくなりますよね。
もちろん、仕事だけでなく、プライベートの会話でも役に立ちます。
また、会話だけでなく、何かを読むときにも役に立ちます。
ある程度読めば結論がわかってしまうので、時間を節約できますよね。
とにかく、一を聞いて十を知ることで話の理解が早くなります。
それによって、コミュニケーションは円滑に進み、時間も節約できるのです。
一を聞いて十を知ることのメリット
一を聞いて十を知ることがどういうことか理解していただけたかと思います。
次は、それができると具体的にどんなメリットがあるのかをより詳しく見ていきます。
少ない情報で全体を把握できるようになる
一を聞いて十を知る人になる最大のメリット。
それは、少ない情報で全体を把握できるようになることです。
そうすれば、ものごとを素早く理解できます。
それに、説明する側もいちいち全部説明しなくてもよくなるので、とても楽です。
たとえば、仕事で製品の試作品を作ることを頼まれたとしましょう。
賢い人であれば、その依頼だけで何をすればいいのかを理解できます。
「試作品ということだから、完璧なものを作る必要はない。それが実用に耐えうるかどうかが判断できればいい。」
「では、実用に耐えうるとはどのような状態のことを指すのか。」
「さっきの会議で性能は問題ないが、持ち運びに難ありという話題が出ていた。」
「ということは、今回の試作品作成の目的は、どこまで小型化することが可能かを見ることではないだろうか。」
と、このように先を読むことができます。
それにこのように考えた理由とそこまでの筋道を説明し確認すれば、仕事を振った方もいちいち全部説明しなくて楽ですね。
全部あっていれば、「うん、それでお願い」で済みますし、一部間違っていても、その間違いを訂正すればいいだけですから。
少ない情報から先へ先へと思考を進めることで、お互いの時間を節約できます。
何より自分の仕事がスムーズに進んでいくので、ストレスなく仕事をすることができるのです。
はじめてのことでも上手くいくようになる
一を聞いて十を知る人のになる2つ目のメリット。
それは、はじめてのことでもうまくできるということです。
賢い人は、少ない情報からでも全他像を想像することができます。
それは、その情報と自分の過去の経験を結びつけることができるからです。
具体的な例を見てみましょう。
たとえば、ある製品のテストを頼まれたとしましょう。
しかし、その仕事はまだやったことがありません。
何を検証すればいいのか、どうやって検証すればいいのかもわかりません。
ですが、別の製品のテストだったらやったことがあります。
その時の手順は、
・テストの目的を定める(なぜテストするのか)
・テストの範囲を定める(どこまで検証すればいいのか)
・テストの方法を決める(過去に実績のある方法を探すなど)
・テストの証跡を残す
…
といった感じです。
個々の細かい作業は製品によって異なるかもしれませんが、テストの大枠の考え方は同じはずです。
そうであれば、前回やった手順にのっとって、今回もやっていけば大きく外れることはないでしょう。
このように、一を聞いて十を知る人は、過去の経験を応用可能なように一般化し、それを目の前の問題解決に役立てることができるのです。
だから、はじめてのことでも大きく外すことなく、成果を出すことができます。
社会に出れば、ほとんどのことはぶっつけ本番です。
やったことがないからできない、と言っていてはいつまでたっても何もできるようになりません。
そうしているうちに、どんどん同僚に追い越されてしまいます。
はじめてでも一定のクオリティを出すことができることが大事です。
そのためには、一を聞いて十を知ることができないといけないのです。
要領が良くなる
一を聞いて十を知ることができると、要領がよくなります。
なぜなら、無駄な試行錯誤がなくなり、正解を導き出すのが早くなるからです。
一を聞いて十を知ることができる人は限られた情報でも全体像を把握することができます。
ということは、同じ情報を与えられた場合、一を聞いて十を知ることができる人は、そうでない人に比べ、不明点が少ないということになります。
不明点が少なければ、それを理解したり、解決するための正解により短い時間でたどり着くことができます。
だから、無駄な作業が減り、要領がよくなるのです。
たとえば、飲み会の幹事を例に考えてみましょう。
だいたい飲み会の幹事というのは、あいまいな情報で進めていくことが多いです。
「こんな感じの店がいい」
「何人くらいくるらしい」
「前回とは違う店がいい」
などなど。
あいまいな条件が多く、きっちりした条件はなかなか出てきません。
ですが、賢い人はこうしたあいまいな条件でもきっちり成果を出すことができます。
たとえば、「こんな感じの店がいい」というのは、何か目的があってそう言っているはずです。
「新人歓迎会なので、新人があいさつ回りしやすいように座敷の店がいい」とか
「顧客の接待なので、いつもの店よりもちょっと高い店にしたい」
などといった感じです。
こうしたことまで考えられれば、あとはそれに合致する店をリストアップして、上司に提出すればお店はすんなり決まるでしょう。
見当はずれの店をリストアップして、ダメだしのあと再提出ということを繰り返さないでよくなります。
つまり、要領よく仕事をこなせるということですね。
仕事を要領よくこなせれば、その分自分の時間が作れますし、上司からの評価もよくなるでしょう。
ですから、要領よく仕事をこなせるに越したことはないのです。
一を聞いて十を知る人になるための方法
さて、ここまでで一を聞いて十を知ることのメリットをわかっていただけたのではないでしょうか。
仕事でもプライベートでも、とにかくものごとを素早く、スマートに片付けることができるのです。
次に気になるのが、「どうすれば一を聞いて十を知る人になれるのか」ということです。
では、さっそくその方法についてみていきましょう。
構造と目的を考える
一を聞いて十を知るためには、ものごとを一般的・抽象的にとらえる力が必要です。
では、ものごとを一般的にとらえるためにはどうしたらいいか。
そのためのコツが、構造と目的を考えるということです。
たとえば、仕事の構造と目的を考えてみましょう。
そうすると以下のようになります。
構造:依頼する人と作業をする人が存在
目的:依頼者に喜んでもらうこと
このように考えれば、他のいろいろな仕事にも当てはまります。
たとえば、服屋の仕事であれば、
構造:販売員が来店者に服を販売する
目的:来店者に服を買ってもらい、満足してもらうこと
たとえば、喫茶店の仕事であれば
構造:店員が来店者に飲み物を支給する
目的:飲食物を購入してもらう、くつろいでもらう
構造と目的を把握していないと、成果を上げることは難しいです。
たとえば、喫茶店の店員として働く上で目的を理解していなかったらどうでしょうか。
ただ、お客さんに飲み物を出すことしか考えないので、それ以上の付加価値がありません。
上質な空間を演出したり、くつろげるような雰囲気を作ったりして、お客さんに「また来たい!」と思わせるような工夫をしません。
なので、そのお店は流行らないでしょう。
ですが、構造と目的を理解していれば、いちいち説明されなくてもお客さんのことを第一に考えます。
それが結果的に喫茶店にとってもプラスになることを理解できているからです。
このように、構造と目的を理解していれば、ものごとの一番大事な部分を理解できます。
そして、その大事な部分を守るために何をしないといけないのかも自然と考えるようになるのです。
すなわち、一を聞いて十を知ることができるようになるのです。
複数のものの共通項を見つける
一を聞いて十を知るためには、ものごとを一般的にとらえることが不可欠でした。
そのためには、複数のものの共通項を見つけることも重要です。
そうすることで、ものごとの本質や特徴を見抜くことができるのです。
たとえば、仕事のできる人たちをリストアップして、その性質を分析することで、仕事ができる人が持っている普遍的な要素を抽出することができます。
仕事ができる人たちを、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん…、としましょう。
この人たちは、それぞれ別の人です。
顔も特徴も生活習慣も違います。
ですが、その人たちの特徴を抽出し、その共通点を分析することで、仕事ができる人の要素を知ることができるのです。
たとえば、
「朝起きるのが早い」
「スポーツをする習慣がある」
「読書の習慣がある」
「休日も精力的に活動している」
…
などといった感じです。
このようにものごとの共通項を見つけることができれば、要領がよくなります。
たとえば、仕事ができるようになりたいと思った時も、すぐにそのためにどうすればいいのかが理解できますよね。
だから、すぐに行動できますし、すぐに成果をあげられるのです。
逆に、こうした考え方ができないと、見当違いの方向に頑張ってしまう危険性があります。
本当は関係ないのに、自分がそう思うからそれをする、たとえば「高い服を着る」などですね。
そうならないためには、ものごとの共通項を洗い出す、という考え方をする必要があるのです。
一言で言い表してみる
抽象化のための最後のコツ。
それが、ものごとを一言で言い表すことです。
一言で言い表すには、無駄なものを極力そぎ落とすことが必要です。
そうすることで、ものごとの一番大事な部分が見えてくるのです。
そして、一言で言い表した時に、しっくりくるかというのも大事なポイントです。
なにか違和感を感じるようであれば、それはまだ本質を言い表しているとは言えません。
たとえば、人生の幸福を一言で言い表すとどうなるかを考えてみましょう。
お金をたくさん稼ぐことでしょうか。
どうもこれは違う気がします。
お金があっても幸せでない状態は存在するからです。
では、家族がいることでしょうか。
しかし、家族が嫌いな場合はどうでしょうか。
それでも幸せと言えるかは疑問です。
では、好きな人がいるということでしょうか。
でも、その人に嫌われていたら、それでも幸せなのでしょうか。
では、好きな人とお互いを大事にし合い、一緒にいることが幸せでしょうか。
その場合、死別してしまった人はどうするのでしょうか。
幸せとは言えないのでしょうか。
こう考えていけば、結局人生の幸福とは、「自分の納得感」なのではないのでしょうか。
自分が幸せだと思えば幸せだし、不幸だと思えば不幸。
そんなものではないでしょうか。
…
上記は例に過ぎませんが、このようにどうすれば一言で表せるかを考えていくかで、ものごとの本質が見えてくるのです。
本質がわかれば、それを個々の状況に当てはめることも可能です。
たとえば、人生が個人の納得なのであれば、個々人の状況に応じてどうすれば納得がいくのかを考えていけばいいですからね。
このように、ものごとの本質をとらえるためには、一言で言い表してみるというのも有効です。
抽象化能力を鍛えたい人におすすめの本
ここまで、一を聞いて十を知ることができるようになるメリットとその方法について解説してきました。
本文中でも何回か出ましたが、一を聞いて十を知る人になるためには、とにかく抽象化能力が大事です。
ものごとを抽象的にとらえることで、話の理解が早まったり、要領がよくなったりするのです。
以下の書籍『具体と抽象』は、抽象化思考を勉強したい人にはうってつけの本です。
抽象化とは何か?に始まり、抽象化能力を鍛える方法、それを仕事や生活に生かすためのコツなど、多岐に渡る内容を網羅しています。
使用される具体例も豊富、かつ分かりやすいので、「抽象化って何?」というレベルの人でもすんなり読めます。
抽象化能力は鍛えておいて損はありません。
普遍的で応用範囲がとても広い能力だからです。
興味があれば、まずこの本から始めてみることをおすすめします。