日本人が勤勉なのは、稲作のおかげ!?
「日本人は勤勉な性格である」
外国人から見た日本人はそのような印象があるようです。
バブル期には「1日24時間働けますか?」などとはやされていたように、日本人は、一生懸命働くことを美徳としています。
ですが、今の国際社会の中での日本を見ると、いまいちパッとしません。
景気は低迷し、少子高齢化、社会福祉費の増大など、問題は山積みです。
勤勉な性格を有する日本人の国が、どうしてこんなにも凋落してしまったのか?
それは私たち日本人が、自身の勤勉さを間違って捉えているからかもしれません。
なぜ、日本人は勤勉な性格なのか?
どうして、その勤勉な性格では今の日本の問題を解決することができないのか?
これらを解き明かしていく事で、よりよい社会を築いていく事ができます。
そして、それは自分の人生を豊かにすることにもつながるのです!
そこで今回は、日本人が勤勉な理由を考えていきます。
なぜ日本人は勤勉な性格なのか?
まずは、日本人の勤勉な性格が一体どうして生まれたのかを見ていきましょう。
日本人の勤勉さは、その文化と関係があるようです。
日本人は、古来より稲作を行ってきました。
実は、この稲作が日本人の勤勉な性格を生み出したのです。
稲作は、非常に手間のかかる耕作方法です。
苗を植える時は、収穫に差が出ないように均等な間隔をあけないといけません。
水をひく前には、田の底が平らになっているかどうかを気にしないといけません。
水を入れた後も、毎日水量に気を配って調整しないといけません。
また、稲作は管理が大変なため、耕作地を簡単に増やすことができません。
収穫量を増やすためには、耕作地あたりの収穫量を増やすしかありません。
そのためには、スキルを身に着け、徹底的に効率化することが必要とされます。
このように、稲作は非常に繊細な気配りが必要です。
また、それを長い期間コツコツ続けていく、忍耐強さが必要です。
つまり、勤勉な性格が要される耕作方法なのです。
このように稲作は、勤勉さを要する面倒な作業です。
そのため、稲作が中心の国々では、小作農が根付きませんでした。
小作農にしてしまうと、収穫が自分のものになりません。
つまり、頑張りが自分の収入につながらないのです。
そのような状況の中で、人間は面倒な作業に打ち込みません。
そうなると収穫量が減ってしまい、国が傾いてしまいます。
結局、自作農を中心とする方が、国全体での収穫量が増えるわけです。
自作農を中心とすれば、頑張りがそのまま収入に直結します。
「働けば、働くほど豊かになる」という考えが生まれます。
そして、この思想が日本人のコツコツと頑張る、勤勉な性格を生み出したというわけです。
外国人から見た日本人が、働きすぎという印象なのも、この風土が強く関係しています。
日本人の勤勉な性格には、
・稲作が、勤勉さ無しにはできない作業であったこと
・稲作には、効率化が必須であったこと
・それによって、働けば働くほど豊かになるという思想が生まれたこと
が大きく起因しているのです。
勤勉さは人生を成功に導く
日本人が勤勉である理由がわかりました。
では、この勤勉な性格は、人生にいったいどんな影響を与えるのでしょうか?
日本が一番好調だった時代である、バブルの時代を考えてみましょう。
この頃は、道路や施設などの必要なインフラがありませんでした。
常に足りていない状況、つまり仕事が山ほどあったわけです。
そのような状況の中では、仕事をこなせばこなすほど、経済は豊かになっていきます。
経済が豊かになっていく事は、自分の生活が豊かになっていく事です。
つまり、頑張った分だけ、それが自分に返ってくるような状況だったのです。
このような状況の中では、日本人の勤勉な性格が、その力を発揮します。
その証拠に、日本の経済は右肩上がりに成長していきました。
また、日本以外でも、勤勉さと人生の成功の関係がわかる話があります。
それは、アメリカで成功している人間の多くが、プロテスタントであるという事実です。
プロテスタントは、キリスト教の宗派のことで、信者に厳しい戒律を強いることが特徴です。
その戒律の中で、仕事に一生懸命取り組むことというものがあります。
これは、仕事というのが、神によって与えれらたものであるという思想が背景にあります。
つまり、勤勉な性格であること、ともすれば働きすぎとも言えるような姿勢が、プロテスタント信者には要されます。
そして、その姿勢が彼らを人生を成功に導いたのです。
このあたりの話は、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という本に詳しく書かれています。
日本人の例と、プロテスタントの例から、勤勉な性格は人生を成功に導くといえることができるでしょう。
では、なぜ今の日本は不調なのか?
勤勉な性格が、人生を成功に導くことがわかりました。
となると、一つの疑問が生じます。
それは、「なぜ今の日本が不調なのか?」ということです。
日本人は、元来、勤勉な性格を持っています。
だとしたら、その勤勉な日本人が率いる日本は、もっと好調でもいいはずです。
しかし、実際はそんなことはありません。
どうしてなのでしょうか?
これを考える前に、勤勉さについて考えてみましょう。
日本人の有する、勤勉な性格とは具体的にはどんなものなのでしょうか?
今までの話から考えると、以下のことが言えます。
・結果がすぐに表れなくても、忍耐強く続けることができる
・作業の効率化が得意
・頑張りが自分に返って来る時に、発揮される
しかし、これらは裏を返せば、このように言うこともできます。
・効率の悪い頑張りを続けてしまう
・ゼロから何かを生み出すのが苦手
・自分の成果にならないと、発揮されない
では、今の日本の状況はどのようなものでしょうか?
既に経済の発展は、ある程度完了しています。
道路や施設などの必要なインフラは整備され、必要なサービスは官民問わず揃っています。
つまり、目に見えるニーズは、もうあまりないのです。
その中で仕事を見つけるためには、新たなニーズを探さないといけません。
そのためには、今やっていることを捨てること、新しい何かを考える能力が必要とされます。
これは、日本人の勤勉な性格が不得意とするところです。
つまり、現代の社会状況の中では、
「成果の出ない努力を続ける→成果が出ない→それでも頑張り続ける」
という悪循環が発生してしまいます。
この悪循環のせいで、景気が停滞してしまっているのです。
今は、まだ日本人の勤勉な性格によって頑張りが続いています。
努力が報われなくても、一定期間なら忍耐強く続けることができるのです。
しかし、あまりにも長い期間報われないと、いい加減頑張ることをやめてしまいます。
日本人の勤勉な性格が発揮されるのは、努力が報われるという期待がある時だからです。
このまま日本の不況が続き、日本人が頑張ることをやめてしまえば、ますます事態は悪化するでしょう。
われわれの持つ「勤勉さ」を再認識する
日本人の持つ勤勉な性格が、逆に今の日本の苦境を脱出する足枷になっていることがわかりました。
しかし、勤勉さは本当は素晴らしい性格のはずです。
その強みが上手く引き出せていないのは、日本人自身が勤勉さを理解していないことが原因なのです。
先述したように、日本人の勤勉さとは、
・結果がすぐに表れなくても、忍耐強く続けることができる
・作業の効率化が得意
・頑張りが自分に返って来る時に、発揮される
ということです。
今はこれらの強みが、空回りしてしまっているせいで、苦境から脱することができないのです。
では、これらの強みを上手く発揮できるような仕組みを作ってみたらどうでしょうか?
かつての日本や、プロテスタントのように、素晴らしい成果を上げることができるはずです。
そのためには、私たち自身が日本人の勤勉さを再認識することが重要です。
そもそも、日本人の持つ勤勉さとは何なのか?
その強みは?弱みは?
そして、それはどんな時に発揮されるのか?
再認識することで、私たち日本人の勤勉さは真の強みとなるのです。
こういったことを一人ひとりがしっかりと考えていく事が、日本の再起への近道なのではないでしょうか。
今回のまとめ
・日本人の勤勉さは稲作のおかげ。
・勤勉さは人生を成功に導く。
・そのためには自身の勤勉さを再認識する必要がある。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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