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公開日:
最終更新日:2016/12/11

論理性だけではダメ!人を動かすいい文章を書く方法

いい文章とは何でしょうか?
「論理的であり、なにを言いたいのかがはっきりと伝わる文章」
こう考えている人が多いのではないでしょうか?

たしかに、文章において論理性は重要です。
しかし、大事なのはそれだけでしょうか?

そもそも文書の役割とは、人に行動を促すことです。
たとえば、以下の文章を見比べてみてください。

「あの店でセールをやっているよ!」

「あの店でセールをやっているよ!
日用品が半額以下になっていて、すごく安かったんだ。
思わず買いこんじゃったよ。
すごい勢いでものがなくなってたから、買うなら早く行った方がいいよ!!」

どちらの文章も、セールがやっているという情報を伝えているにすぎません。
しかし、この2つの文章だったら下の文章の方が、「セールに行ってみようかな?」という気持ちになるはずです。
そもそも、セールがやっていることを伝えたのは、そこにいくことでメリットがあることを知ってもらいたいからです。
セールをやっている事実を伝え、それに行ってみようかなと思わせることが目的なのです。
このように、いい文章というのは他人に行動を促す文章なのです。

そして、このような文章を書けるようになれば、自分の思いを伝えて、人に動いてもらえるようになります。
そうなれば、さまざま場面でメリットがあります。
・お願いを聞いてもらいやすくなる
・お客さんとのメールでのやり取りがスムーズになる
・Goをもらいやすい企画書を作成できるようになる
・デートのお誘いでOKをもらいやすくなる
などなど。

では、どうすれば人の心を揺さぶる、いい文章が書けるようになるのでしょうか?
今回は「「読ませる」ための文章センスが身につく本」から、その方法を見ていきます。

人を動かす文章の書き方

文章が読まれる4つの段階

いい文章を書く方法を見ていく前に、まずは文章が読まれるとはどういうことかを考えていきましょう。
ひとことで文章が読まれるといっても、そこには以下の段階があります。

①読もうと思わせる
②読み進めようと思わせる
③気持ちを揺さぶる
④納得させる

それぞれの段階で、何に気をつけなければならないのかを見ていきましょう。

①読もうと思わせる

まずは、読み手に「この文章を読もう」と思わせなければなりません。
読まれなければ、いくら内容が良くても意味がないですからね。

読もうと思わせるには、以下の2点が重要です。
・自分に関係があると思わせる
・強い表現を使う

自分に関係があると思わせる

まず1点目は、「自分に関係あると思わせる」ことです。

たとえば、政治に無関心な人がいます。
その人は、政治が自分に関係ないと思っているから無関心なのです。
だから新聞やニュースを見て、政治に関係する情報を得ようとしません。

しかし、消費税が上がるとなるとどうでしょうか。
消費税の値上がりが、自分の生活に関係あるのはすぐわかります。
そうなると、ニュースを見たり、意見を言ったりと、政治に関心を持つようになります。

文章においても、これは同じことです。
まずはその文章が自分に関係あると思わせないと、そもそも読んでもらえないのです。

強い表現を使う

2点目は、「強い表現を使う」ことです。
たとえば、以下の2つのタイトルを見比べてみてください。

「消費税5%→8%に増税!」

「消費税増税!年間の生活費は20万円増!?」

これだと、下のタイトルの方が、より自分の生活に影響がありそうですね。
このように強い表現を使うと、より自分に関係があるのだなと思わせることができます。
それによって、文章を読んでもらえる確率がグッと上がるのです。

まとめると、読み手に読もうと思わせるためには、「強い表現を使って、自分に関係あると思わせる」ことが重要だといえます。

②読み進めようと思わせる

読み手に読もうと思わることに成功しました。
次は、そのまま文章を読み進めてもらうことを考えないといけません。

読み進めてもらうためには、負荷の低い文章を書く必要があります。
要は、読みやすい文章ということです。
そのためには、以下の2点が重要です。
・一文一文を読みやすくする
・文章全体の構造をわかりやすくする

一文一文を読みやすくする

読み進めてもらうために、まずは一文一文を理解しやすい文章にする必要があります。
そのためには、以下が重要です。
・難しい言葉や専門用語を使わない。
・入り組んだ文章にしない。
・抽象的な表現を避ける。具体的に書く。

たとえば、これらを全部無視した文が以下です。

「現在、トラフィックが非常に集中している状態にサーバーがあるため、当サービスにアクセスすることが困難な状況となっている。」

何を言っているのかわかりませんね。
これは結局、「人が多すぎてwebサイトを表示できない」ということを言っているにすぎません。
もし、こんな文が出てきたら、その時点で読むのをやめてしまいます。
気をつけないと、意外とこんな文章になってしまうので、注意しましょう。

文章全体の構造をわかりやすくする

一文一文がわかりやすくなったら、次は文章全体としてわかりやすいかどうかに気をつけます。
そのために有効なのが、ナビゲーションを行うことです。
さっきまで何の話をしていたのか、これから何の話をするのか、最終的にこの話はどうなるのか。
こういったことをまとめることで、話の流れが格段に理解しやすくなります。

そのためには、以下のことに気をつけましょう。
・何についての文章か説明する
・こまめに内容をまとめる
・なぜその話をするのかを説明する

これらに気を付けることで、流れがはっきりし、わかりやすい文章となります。
一文一文をわかりやすくすることと同時に、全体として見やすいかどうかにも気をつけることが重要です。

③気持ちを揺さぶる

ここまでで、読み手に文章を読み進めてもらう文章を書くことができました。
しかし、ただ読んでもらうだけでは文章の本当の役割を果たしたことにはなりません。
文章の目的とは、心を揺さぶることです。
ただの読みやすい文章では、心を揺さぶることはできません。

心を揺さぶるためには、以下の3点が重要です。
・変化をつける
・山場は一つだけにする
・読み手にイメージさせる

変化をつける

読みやすい文章とは、ストレスがない反面、心を動かすことができません。
わかりやすく内容がまとめられた専門書などは、非常に読みやすくはありますが、そこに感動はありません。

読み手の心を動かすためには、文章に変化をつける必要があります。
そのためには、
・緩急をつける
・インパクトのある表現を使う
・あえて読みにくい文を書く
・違和感を掻き立てる言葉を混ぜる
などの方法があります。

今まで読みやすい文だったのに、急に難しい言葉を使う。
ソフトな表現だったものを、インパクトのある表現に変える。
語尾がですます調の中に、急にである調を入れる。
などなど、文章に変化をもたらすことで、読み手にひっかかりを与えます。
このひっかかりが、読み手の心を揺さぶることになるのです。

山場は一つだけにする

さきほど、文章に変化をつける必要があるといいました。
しかし、むやみやたらに変化をつけるのは逆効果です。
変化は、ここぞという時に使うべきです。

いうなれば、変化は文章におけるサビです。
ずっとサビが続いていたら、うっとおしいでよね。
他の部分を抑えるから、サビが生きてくるのです。
文章においても同じことで、他の部分を抑えるからこそ、ここぞという時の変化が生きてくるのです。

効果的に変化をつけるためには、文章の山場を決めておくことが必要です。
山場とはつまり、一番言いたいことです。
一番言いたいことを伝える時に、変化をつけるのです。
そうすることで、読み手の心を揺さぶり、一番言いたいことを伝えることができるのです。

読み手にイメージさせる

読み手にイメージさせることで、心を揺さぶることができます。
それは、能動的に考えたことの方が心の残りやすいからです。

たとえば、参考書の内容を読んだだけでは、それほど頭の中には残りません。
しかし、実際に問題を解いてみることで、その内容が強く記憶されます。
自分で考えることで、脳に残りやすくなるのです。

読み手に能動的にイメージさせるためには、
・大事になことをあえて書かない
・質問文にする
・描写したいものではなく、それによって影響を受けているものを書く
ことが挙げられます。

大事なことを書かないことで、それが何なのかを考える必要がでてきます。
たとえば、以下のような文。

「大特価セール中!まさかのアノ商品もこの価格で…!?」

これだと、何の商品が安くなっているかわかりませんね。
こうすることで、「何が安くなっているんだろう?」と考えさせることができるのです。

質問文にすることでも相手に考えさせることができます。

「1万人以上が成功!人生で成功する方法とは?」

このような文を読めば、怪しい広告だなと思う気持ちもあると思いますが、同時に「それはいったいどんな方法だろう?」と考えますよね?
質問文を使うことで、否が応にも読み手に考えさせることができます。

描写したいものを直接書かないことも、効果的な方法です。
たとえば、以下のようなものです。

「この本で95%以上の人が合格できました!」

この文は、本の中身を説明しているわけではありません。
しかし、合格した読者にフォーカスを当てることで、その本のすごさを間接的に表現しているのです。
これによって、「どんな本なんだろう?」と考えさせることができるわけです。
つまり、アピールしたいものではなく、それによって影響を受けたものを描写することで、すごさをイメージさせているわけです。

さて、心を動かす手法として以下の方法を紹介しました。
・変化をつける
・山場は一つだけにする
・読み手にイメージさせる

これらに共通することは何でしょうか?
それは、「読み手を考えさせる」ことです。
考えさせることで、心が動かす文章を仕上げることができるのです。

④納得させる

ここまでで、読み手に文章を読ませ、心を動かすことができました。
最後に気を付けるべきことは、それを行動につなげさせることです。
では、どうすれば読み手に行動を促すことができるでしょうか?

「読み手に納得させる」
これが、行動を促すために気を付けるべきポイントです。

文章を読み終えて、
「なるほど」
「たしかに、その通りかもしれない」
「試してみようかな」
と思わせることが大事なのです。

納得しなければ、人は動きません
だから、文章では論理整合性よりも、読み終えたあとの納得感を大事にする必要があるのです。

納得感を抱かせるために必要なポイントは、以下の3つです。
・メリットだけでなく、デメリットも書く
・思ったことをそのまま書く
・上手にまとめる

詳しく見ていきましょう。

メリットだけでなく、デメリットも書く

「デメリットなんて書いたら、納得なんてさせられないのでは?」と思う方もいるかと思います。
しかし、メリットばかり並べられた文章を読んだら、どんな感想を抱きますか?

「初心者でも絶対失敗しない!」
「成功率98%以上!」
「成功しなかったら全額返金します!」

なんだか信用できませんよね?

「何を根拠に失敗しないといっているのか?」
「返金には、いろんな条件がついていて、結局戻ってこないのでは?」
と、裏を考えてしまいます。
このように、メリットばかりをまくしたてると、逆に読み手の不安を煽ることになるのです。

そうならないためには、疑われる前にこちらからデメリットを公表することです。
これにより、「これだけのメリットがあるなら、これくらいのデメリットは仕方ないだろう」と納得してもらえるのです。

また、わざわざデメリットを公開することで、「読み手のことを考えているんだな」という感想を持ってもらえます。
これにより、文章に対する信頼感を持ってもらえます。
信頼感も行動を起こしてもらうためには必要な要素となります。

つまり、デメリットをあえて公開することで、相手に納得感を持ってもらうことができるのです。

思ったことをそのまま書く

思ったことをそのまま書くことで、思いが伝わりやすくなります
過剰に飾り立てた言葉や、きれいにまとめられた文章は思いが伝わってきません。
どこか嘘っぽさを感じさせるのです。

一方、感情をそのまま表現すれば、本当にそう思っていることが伝わってきます。
人を動かすのは思いです。

「悔しい思いをしたくないから、受験勉強を頑張る」
「何としてもお金が欲しいから、仕事を頑張る」
「あの服を着たいから、ダイエットをする」
人が何かをする時は、必ずそこに思いが存在します

人を動かしたいのであれば、文章に思いがこもっている必要があるのです。

上手にまとめる

上手にまとめることも、納得感を持ってもらうためには大事なことです。

「最後まで読んだし、途中グッとくることも言っていた。でも結局何が言いたいのかよくわからなかったな…」
こんな感想を持たれたら、せっかく文章を読んでもらっても意味がありません。
そうならないためには、結局何が言いたいのかをまとめる必要があります。

まとめる際のポイントとしては、ひとことで言い表すことです。
上手くひとことで言い表すことができれば、読み手に意図が伝わりやすくなりますし、文章全体がグッと引き締まります。

ここまで納得感を持ってもらうために必要なことを紹介してきました。
このような具体的な方法も重要ですが、それよりも重要なのが、感情面と論理面の両方からアプローチすることです。
いくら感情に訴えかけるような文章を書いても、イマイチ納得できません。
逆に論理的に納得できても、感情がこもっていなければ行動する気にはなりません。
つまり、人を動かす文章を書くためには、感情面、論理面で相手を納得させる必要があるのです。

今回のまとめ

①読もうと思わせる
・自分に関係があると思わせる
・強い表現を使う
②読み進めようと思わせる
・一文一文を読みやすくする
・文章全体の構造をわかりやすくする
③気持ちを揺さぶる
・変化をつける
・山場は一つだけにする
・読み手にイメージさせる
④感情面、論理面で納得させる
・メリットだけでなく、デメリットも書く
・思ったことをそのまま書く
・上手にまとめる

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

「読ませる」ための文章センスが身につく本



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