人工知能の革命「ディープラーニング」とは?
人工知能の性能は、ここ数年で大幅に向上してきました。
それにともなって、人工知能が解決できることも増えてきました。
昨今の人工知能ブームには、このような性能の向上も理由の一つですが、もっと大きな要因があります。
それが、ディープラーニングと言われる技術です。
この技術によって、今まで人工知能の前に立ちはだかっていた壁を越えることができるかもしれないのです。
いま注目が集まっているディープラーニングとは一体何なのか?
それによって、人工知能はどう進化するのか?
そこで今回は、「人工知能は人間を超えるか」から、ディープラーニングとは何か?についてみていきます。
ディープラーニングとは?
人工知能に革命をもたらすと期待が高まっている、ディープラーニング。
これはいったい、どんな技術なのでしょうか?
ひとことで言えば、人工知能が概念を学習する技術です。
概念というとは、特徴やイメージなどと言い換えることができます。
たとえば、ネコの概念は、
「耳が立っていて、黒目が細く、しっぽがあって、4足歩行で、小さくて…。」
といった具合です。
前回の記事で人工知能の最大の課題は、概念を学習できないことだとわかりました。
その最大の課題が、この技術によって解決されるのです。
具体的にディープラーニングは何をしている?
ディープラーニングによって、人工知能が概念を獲得できることがわかりました。
では、具体的にどんなことをしているのでしょうか?
ディープラーニングは、入力された情報を圧縮し、まったく同じ画像を出力するということをしています。
たとえば、ネコの画像を入力として、圧縮したのち、まったく同じ画像を出力するのです。
ここでポイントとなるのが「情報の圧縮」です。
情報の圧縮とは何でしょうか?
たとえば、2×2のピクセルの青い画像があるとします。
この画像の色情報をそのまま表現すると、
「1-1…青、1-2…青、2-1…青、2-2…青」となります。
しかし、情報の圧縮を行うと、
「全てのピクセルが青い」と表現することができます。
このように、情報の圧縮をすると少ない情報量で表現が可能になります。
実はこの圧縮するという作業が、人間でいうものを認識するという作業にあたるのです。
たとえば、画像の中に黄色い丸の圧縮パターンがよく出るとします。
すると、人工知能は黄色い丸という概念を学習します。
つまりこの圧縮のパターンが、人間でいうところの概念にあたるわけです。
あとは、それが月であるということを教えてやれば、人工知能は月を認識できるようになるのです。
そしてこれを何回もくり返していく事ことで、より複雑なものを見分けることができるようになります。
たとえば、黒い丸がよく出ることで、それが瞳であることを理解します。
そして、瞳の周りにはよく白が表れることで、目を認識できるようになります。
目と鼻と口がよくセットで現れることで、顔を認識することができるようになります。
googleの人工知能がネコを認識できるようになったというニュースがありましたよね。
実はこれもディープラーニングによって実現されたものなのです。
ディープラーニングで人工知能はどう進化する?
ここまでで、ディープラニングの概要が理解できました。
次は、ディープラーニングによって人工知能がどう進化するのかを考えていきましょう。
ディープラーニングによって、人工知能は概念を学習できるようになりました。
といっても、現在は画像から概念を学習することしか成功していません。
しかし、今後技術が改善されていけば、時間の経過をともなう「動き」の概念や「音」の概念なども学習できるようになるでしょう。
生き物が足を動かして移動するパターンを認識すれば、歩くという概念を学習できます。
ピアノの音のパターンを認識すれば、ピアノの音という概念を学習できます。
このように技術が進めば、人間がいつも使用している概念はほとんど獲得できるようになります。
すると、いよいよ人工知能は言語を理解できるようになります。
いままで、人工知能は翻訳などを行っていましたが、それは文の意味を理解していたわけではありません。
単語と単語の対応表を見て、機械的に変換を行っていただけです。
これが文章の意味を理解できるようになるのです。
人工知能が文章を理解できるとどうなるのでしょうか?
当然、人工知能の性能は大幅に向上します。
たとえば、今まではルール化が難しかった作業であっても、マニュアルを人工知能に理解させることで実行可能になります。
言語の意味を理解するので、そのルールでは足りない部分や不整合のある部分を見つけて、よりよいルールを生成してくれるかもしれません。
つまり、今まで人間が行っていた作業が人工知能にとって代わられる可能性があるのです。
今までもそのような事態はありましたが、適用できる仕事の範囲から考えると、今回はいままで以上の影響力があるでしょう。
人工知能がそこまで高度な処理ができるようになるには、当然かなりの時間を要します。
しかし、今後そのような時代が訪れるとなった時、私たち人間の役割は何かを考えなければいけなくなるでしょう。
作業をどうこなすかではなく、目的のために何の作業をしないといけないのかを考える。
そしてそれらの作業を効率的に行うために、人工知能を指揮する。
社会がどうあるべきかというビジョンを考える。
こういった大局的な視野を持つことが、人間の仕事になるのではないでしょうか。
人工知能の発達に期待を寄せるとともに、それが自分にどのような影響を与えるのかということ考えるのも必要なことです。
今回のまとめ
・ディープラーニングによって、人工知能は概念を学習できる。
・人工知能にとっては、情報圧縮のパターンが概念となる。
・概念を獲得することで、言語を理解できるようになる。
・人工知能の性能が向上した時、人間は何をすればいいのかを考えないといけない。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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