b00k.jp ~積み上げ式読書ノート~
公開日:
最終更新日:2016/06/19

人工知能はすごい!でも、一体何ができるの?

今、人工知能が注目されています。
「人工知能が世界を変えるのではないか?」
「SFの世界が実現するのではないか?」
そんな期待を胸に人工知能への関心が高まっています。

「人工知能はすごい!」
しかし、人工知能が具体的に何をできるのか知っていますか?
人工知能がどんな課題を抱えているのか知っていますか?
「すごいことはわかるけど、具体的に何ができるのかはわからない…」というのが本音ではないでしょうか。

そこで、今回は「人工知能は人間を超えるか」から、今の人工知能は何ができるのか?そして何ができないのか?を見ていきます。

人工知能にできること

現状を支える技術「機械学習」

まずは、人工知能の現状を見ていきましょう。
現状を知ることで、人工知能のすごさと今後の課題がより明確になります。

人工知能のいまを支える技術として「機械学習」があります。
これは、人工知能に大量の正解のデータを教え込ませることです。

たとえば、英語を日本語に翻訳をする人工知能をつくる場合を考えてみましょう。
そのためには、英語とそれに対応する日本語をセットで教えてやる必要があります。
「apple=リンゴ」のような対応をたくさん教え込ませるのです。
たくさんの対応を覚えれば、翻訳ができるようになるということです。

たくさんの対応を教え込むのは大変なことです。
これを可能にしたのが、インターネットの出現です。
インターネットは世界中の人々が利用します。
ということは、それだけたくさんのデータが入手できるということになります。

たとえば、google翻訳というサービスがあります。
このサービスでは、日本語を入力すると英訳が表示されます。
そして、その結果が間違っていた時に自分で修正を加えることができます。
google翻訳は、その修正結果を学習し、より正確な英訳ができるようになるのです。
この作業を世界中の利用者が行えば、正確な英訳のデータがたくさん手に入るのです。

これにより人工知能は、かなり高度な処理が可能になりました。
先ほど紹介した翻訳をはじめ、検索システムなどがあります。
検索欄に単語を入れると、その単語と一緒に検索される可能性が高い語を先回りして表示します。
これも、膨大な量の検索データを学習したことによるものです。

つまり、人工知能は膨大な量の正解を覚えることにより、かなり高度な処理ができるようになったのです。

機械学習の問題点

現在の人工知能が、かなり高度な処理を行えるようになったことがわかりました。

しかし、この人工知能にもまだ問題点があります。
翻訳のように、単語と単語の対応が1対1のものであれば、機械学習で対応することができました。
では、対応が1対多のようなものはどうでしょうか?

たとえば、人工知能がネコを見分けられるようにしたいという場合。
ネコを見分けさせるためには、ネコの正解を見せなければなりません。
しかし、ネコの正解とはなんでしょうか?
ネコの画像のことでしょうか。
ネコの画像を正解とした場合、少しでも差異があれば、それはネコではないと判断してしまいます。
たとえば、与えられた正解のネコの画像が三毛猫だった場合、アメリカンショートヘアーはネコではないと判断してしまうのです。
もっといえば、目をつむっていたり、少し角度が違ったりするだけでもネコと判断できないのです。

ネコと一口に言っても、それに対応する正解は無数に存在します
三毛猫、アメリカンショートヘアー、目をつむっているネコ、歩いているネコ…。
これらの全てを正解として与えないと、ネコをネコと判断できないのです。
正解と全く同じものしか判断できないことが機械学習の問題点なのです。

人間はどうやってネコを見分けているか?

人工知能がネコを見分けることが非常に難しいことがわかりました。
人間には簡単にできることなのに、非常に優れた性能をもつコンピュータにはできないのです。

しかし、ここで一つ気になることがあります。
それは、なぜ人間にはネコが判断できるのかということです。

結論からいうと、人間がネコを判別できるのは、ネコの概念を理解しているからです。
概念とは特徴のことです。
ネコとはこういうものであるというイメージと言ってもいいです。
その概念があるから、ネコを見た時にネコだと判断することができるのです。

ということは、人工知能がネコを判断できないのは、ネコの概念を持たないからだといえます。
だったら、ネコの概念を教えてやればいいのではないかと思いますよね。
しかし、実はこの概念を教えるというのが非常に難しいことなのです。

たとえば、ネコの概念を文字であらわしてみましょう。
耳が立っていて、黒目が細く、しっぽがあって、4足歩行で、小さくて…。
このように文字で表記しようとすると、とても難しいのです。
みなさんも、ネコを見たことのない人に言葉だけでネコを説明しようとしても、うまくできないですよね。
概念は言葉や文字では表現しきれないほどの情報を持っているのです。
だから、人工知能に概念を教えるということは非常に難しいことなのです。

人工知能が概念を獲得する

人工知能のいまの課題が、人工知能が概念を獲得できないことだとわかりました。
そして、それは概念を教えるということが非常に難しいからです。

概念というのは言葉だけで獲得できるものではありません。
私たちもネコという概念を獲得するためには、ネコを見たことがないといけません。
何回も見ることによって、ネコの概念が形成されるのです。

つまり、概念は教わるのものではなく、学習するものなのです。
ということは、人工知能が概念を学習できるようになれば、この問題は解決されるわけです。
そんなことが可能なのでしょうか?

実は、近年それを可能にする技術が発見されたのです。
それが、ディープラーニングと呼ばれるものです。
ニュースなどで耳にした方も多いのではないでしょうか?

ディープラーニングとはいったい何なのか?
人工知能が概念を獲得するといったいどうなるのか?
次回は、それらについてみていきます。

今回のまとめ

・機械学習によって、人工知能の性能は大幅に向上した。
・機械学習とは、大量の正解を教えること。
・機械学習の問題は、概念を獲得できないこと。
・人工知能が概念を獲得する技術「ディープラーニング」が出現した。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)

カテゴリー: IT


広告

オススメ記事


PAGE TOP ↑