b00k.jp ~積み上げ式読書ノート~
公開日:
最終更新日:2016/06/19

私たちは「働くこと」の意味を考えなければならない

こんにちは。
今回は「僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由」を見ていきます。
本書は、何人かの若者の人生を追うことで、仕事とは、働くことはどういうことか?そして、生きるということはどういうことか?それらの意味を考えています。
若者とひとくくりにされていますが、彼らは誰一人として同じではなく、それぞれ異なる思いを抱えながら生きています。
そのように生き、働く若者の姿からいったい何を学べばいいのでしょうか?

僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由 (文春文庫)

出口のない迷路のような人生

本書に登場する若者たちは、学校を中退したり、不登校になったりと何かしらの挫折を味わっています。
その挫折に至る原因として共通するのが、「答えを見いだせない」ことです。

なぜ、一生使うことのないような勉強をしなければならないのか?
なぜ、こんなルールを守らないといけないのか?
なぜ、やりたくもないことをしなければならないのか?

若者のこうした疑問は世間では認められません。
「そんなのは当たり前のことだ。黙ってやれ。」
こんな風にだれもまともに取り合ってくれません。

そうして彼らの疑問は答えを得られないまま、ぐるぐると頭の中をめぐり続けます。
「もしこの違和感を押し殺して生きていかなければならないのなら、自分の人生はいったい何なのだろうか?」
意味の見いだせないことを延々と続けていくのは、さながら賽の河原で石を積むようなものです。
このように生きる意欲を失ってしまった時、若者たちは歩くことを辞めてしまうのです。

希望を与えられる大人はいない

今の若者は希望を持ちにくい状況にあります
彼らはいい人生を歩むために、常に競争を強いられてきました。
いい高校に入るためには中学から塾に行かないといけない。
内申もよくしないといけないから、学校にもしっかり行き、部活でも成果を出さないといけない。
高校に入れたら息つく暇もなく、大学受験を目指して頑張らないといけない。
熾烈な競争を勝ち抜いて大学に入ったら、今度は就職活動が控えている。
運よく働くことに成功できたとしても、安泰というわけではない。
景気は後退の一途をたどり、年功序列は崩壊、給料は上がらず、いつ解雇されるかもわからない。
そんな状況でもクビにならないために必死に働く必要があります。
こんな無間地獄のような人生でどうやったら希望が持てるのでしょうか?

そんな中でも、彼ら若者に答えを教えてくれる人がいたら、どれだけ救われることでしょうか。
答えそのものでなくてもその方向を示してもらうだけでもずいぶん違った人生が待っていたはずです。
しかし、そのような大人は彼らの周りにはいませんでした。
大人は道を示すことはできません。
彼らは若者の問いを、「黙ってやれ」と冷たく突き放すだけです。
しかし、これも当然のことで、彼らも何か確信をもって生きているわけではないのです。
自分たちも上の世代に言われたから。
世間ではそれがいいということになっているから。
その程度の漠然とした根拠しかありません。
それにも関わらず、「いつか分かる時が来る」と答えを知っているような風を装うからたちが悪いです。
彼らの時代は、何も考えず黙って働いているだけで景気が上向いていたのでそれでもよかったのかもしれません。
しかし、時代が変わってしまった今、彼らの助言は何の役にも立たないのです。

それでも生きていく

このような希望のない迷路のような人生でも、ある時をきっかけに若者たちは歩き始めます。
それは「意味は自分で探さなければならない」ことに気づいた時です。
そのことに気づいたとき、彼らは意味を探すため驚くべき行動力を発揮します。
慣れ親しんだ環境から決別し、未知の場所へ自分の居場所を探しに行きます。
ついこの前までひきこもっていた人間とは思えません。

このことからわかるのは、彼らは落ちこぼれだったわけではないということです。
ただ自分の人生に納得のいく意味を持てなかっただけです。
働くことに意味を見いだせなかっただけなのです。
そして、それは自分で探さなければならないものだということがわからなかったからです。
今の若者たちは、過酷な競争により、人生について、その意味について考える時間がありませんでした。
そうした機会を与えてくれる大人たちも周りにいませんでした

しかし、それでも必死にもがき続けることで、彼らは生きること、働くことに意味を見出そうとしています。
向かうべき方向が決まった時、人間は今までにない強さをもって人生に立ち向かうことができるのです。

悩み抜いた先に自分の道がある

私たちは今まで自分の人生が何なのかを考えることをしてきませんでした。
そして、人生の意味に対して真剣に向き合うことをしてきませんでした。
そのことについて考えるという発想自体がなかったのです。
また、周りにそういったことの必要性を説く大人もいませんでした。
そして言われるがままに人生を歩いてきた結果、
「自分の人生は一体何なんだ?」
「この人生に意味はあるのか?」
「働くことに意味があるのか?」
と悩むことになるのです。
私が思うのは、この悩みがもっと早い段階で来るべきではないかということです。
働くことや生きることに対する意味をもっと早く考えるようになれば、より早い段階で自分の進むべき方向が定まり、確信をもって生きることができます。

私たちと同じような思いを下の世代にさせないためにも、まず自分の人生と真剣に向き合い、その意味を自分なりに見出す必要があるかと思います。
そのように悩み抜いた人間にしか道を指し示すことはできないからです。

僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由 (文春文庫)

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